RX71Mとは、ルネサスエレクトロニクス(以下、「ルネサス」)のマイコンです。RX71Mを始めとするRXファミリは、ルネサスオリジナルのRXコアを搭載しています。この記事では、RXファミリの中でも、産業機器向け高性能リアルタイムエンジンであるRX71Mを紹介します。
RX71Mの仕様
分類 | モジュール/機能 | 説明 |
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CPU | 中央演算処理装置 |
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FPU |
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メモリ | コードフラッシュメモリ |
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データフラッシュメモリ |
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RAM |
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ユニークID |
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ECC付きRAM (ECCRAM) |
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スタンバイRAM |
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出典:RX71Mグループ データシート
RX71Mとは
RXファミリの製品ラインアップ
RXファミリは、高い演算性能と優れた低消費電力性能を実現するルネサス社製の32ビットマイクロコントローラです。RXファミリは、ルネサス製マイコンの主力製品シリーズであり、その特徴として、ルネサスオリジナルのRXコアを搭載しています。
RXファミリのマイコンは、主に下記の4つに分類されています。
- 超低消費電力・エントリシリーズ :RX100
- 低消費電力と高性能のベストミックス:RX200
- 高性能・豊富なラインアップ :RX600
- 最高速・高機能RXフラッグシップ :RX700
RX71Mは、RXファミリの中でも最も高性能なRX700シリーズに属します。
RX71Mとは
RX71Mは、RXファミリの中でも最高速・高機能を備えた、産業機器に最適なマイコンです。ネットワーク上のデータ保護や特定領域のコードの読み出し不可などの機能も搭載しており、IoT化に向けセキュリティ機能を充実させています。
RX71Mの機能
RX71Mの詳しい機能は下記のとおりです。
- 高性能
- 高いリアルタイム性能
- IoT化に向けセキュリティ機能を充実
高性能
RX71Mは、最大240MHzで動作可能な32bitマイコンです。
高いリアルタイム性能
RX71Mは、フラッシュメモリ向けに最適化されています。
フラッシュメモリとは、記憶装置の1つであり、電源を切っても記憶内容が維持される、不揮発性の半導体メモリ・ROM。本来、ROMは、データの消去や書き込みができないが、フラッシュメモリは、例外的にデータの消去や書き込みができるROM。
このため、高速なメモリアクセスにより、CPUの性能を引き出します。
IoT化に向けセキュリティ機能を充実
RX71Mは、AES、DES、SHA、RNGを搭載しています。RX71Mは、IoT機器に必要とされるセキュリティ機能を備えています。
AESとは、暗号化アルゴリズムである共通鍵暗号方式の一つ。AESは、「高度な暗号化標準」を意味する「Advanced Encryption Standard」の略。2020年現在、アメリカで標準規格として採用されている。
DESとは、暗号化アルゴリズムである共通鍵暗号方式の一つ。DESとは、「データ暗号化標準」を意味する「Data Encryption Standard」の略。データを64ビット単位のブロック暗号に区切って処理する。1977年にアメリカ政府によって標準規格化された。
SHAとは、データの改竄や破産の検知に使われるハッシュ関数の一つ。「安全なハッシュアルゴリズム」を意味するSecure Hash Algorithmの略。SSL、SSH等で用いられる。
RNGとは、Random number generationの略であり、乱数生成器のこと。RNGは、ランダムな数字や記号の羅列を生成する。RNGは、暗号鍵の生成などに用いられる。
RX71Mシリーズの入手方法
RX71Mシリーズのマイコンは、下記のルネサスの特約店・取扱店や、オンラインショップなどで購入できます。
RX71Mの開発環境
RX71Mに対応した代表的な開発環境は、下記の通りです。
- IAR Embedded Workbench for RX
- CS+
- e2studio
- GUI統合開発環境 GEAL2
RX71M評価ボード
RX71Mの評価ボードは、下記の3つです。
- Renesas Starter Kit+ for RX71M
- 株式会社アルファプロジェクト社製 AP_RX71M_0A
- 株式会社北斗電子社製HSBRX71M100
ルネサス純正評価ボードRenesas Starter Kit+ for RX71M
Renesas Starter Kit+ for RX71Mは、RX71Mの入門用に最適なスターターキットです。CPUボードだけでなく、LCDディスプレイモジュール、オンチップデバッギングエミュレータ、統合開発環境が添付されています。Renesas Starter Kit+ for RX71Mは、「すぐにRX71Mの評価を始めたい」という方におすすめです。
Renesas Starter Kit+ for RX71Mの価格・購入場所
機能豊富な低価格評価ボードのAP_RX71M_0A
AP_RX71M_0Aは、豊富な周辺機能から通信インターフェース(イーサネット、USB2.0 Host/Function、CAN)機能のほか、SDカード、A/D変換器、D/A変換器を実装しています。また、CMOSカメラモジュールやタッチパネルLCDキットと組合せることで、低コストでの画像処理や画像センシングシステムを構築できます。このためAP_RX71M_0Aは、低コストで画像処理、画像センシングシステムを構築したい方におすすめです。
低価格評価ボードのHSBRX71M100
HSBRX71M100は、低価格でRX71Mを試せる評価ボードです。HSBRX71M100は、「低価格・簡単に評価したい」という方におすすめです。
RX71Mの対応OS
RX71Mに対応している主なOSは、下記の通りです。
- RI600V4
- RI600PX
- ThreadX
- embOS
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。
μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。
- 小さいフットプリント
- マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
- μC3/Configurator付属
- 選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
- 豊富なCPUサポート
- 業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
- 省電力対応
- デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。
詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。
μC3のライセンスの種類・詳細
ライセンスの種類
ライセンスの種類は3つあります。
- 研究開発用プロジェクトライセンス
- 開発量産用プロジェクトライセンス
- プラットフォームライセンス
研究開発用プロジェクトライセンス
研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。
研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。
有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。
開発量産用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。
有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。
プラットフォームライセンス
プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。
※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。
お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。
ポイント
- 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
- 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
- プラットフォームライセンス :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
ライセンスの詳細
- ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
- 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
- 提供形態 :ソースコード
- 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
- 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
- μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています
ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。
保守について
製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。
また、年間保守費用は製品定価の40%になります。
無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)
*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。
保守サービスには以下が含まれています。
- メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
- 製品の無償バージョンアップ
RX71Mと弊社製品μC3/Compactの導入事例
- 電機メーカー製 遠方監視制御装置
- 充放電装置メーカー製 充放電システムコントローラ
- 精密化学メーカー製 理化学用カメラ
など