MAX3255とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

MAX3255とは、Maxim Integratedのマイクロコントローラです。MAX3255は、コアとしてCortex-M3を搭載しており、また、公開鍵認証を備えたセキュアブートローダーを搭載している、セキュアなマイコンシリーズです。

MAX3255シリーズの製品ライン

MAX3255のマイコンは、下記の3種類です。

  • MAX32550
  • MAX32552
  • MAX32555

MAX3255シリーズの仕様

MAX32550 MAX32552 MAX32555
MCUコア ARM Cortex-M3 ARM Cortex-M3 ARM Cortex-M3
最高コアクロック速度(MHz) 108 108 60
内部フラッシュ(キロバイト) 1000 1000 512
内部SRAM(キロバイト) 256 384
UART 2 3
USART 2 2 3
SPIバス 3 3 3
I2Cバス 1マスター/スレーブ 2マスター 1マスター/スレーブ
USB 1 x 2.0 FSデバイス
トランシーバーを含むデバイス
1 x 2.0 FSデバイス
トランシーバーを含むデバイス
1 x 2.0 FSデバイス
トランシーバーを含むデバイス
GPIOピン(最高) 70 64 70
PWM 4 4 8
タイマー機能 Watchdog Capture/Compare
Watchdog
Watchdog
パッケージ/ピン CTBGA / 121
CTBGA-CU / 121
CTBGA / 121 CTBGA-CU / 121
ウェーハ未切断
ウェーハ未切断/ N

出典:MAX32550

出典:MAX32552

出典:MAX32555

MAX3255シリーズとは

MAX3255は、Cortex-M3コアを搭載しており、また、公開鍵認証を備えたセキュアブートローダーを搭載している、セキュアなマイコンシリーズです。

MAX32550の特徴

MAX32550は、Cortex-M3を搭載したマイコンです。MAX32550の特徴は、公開鍵認証を備えたセキュアブートローダーを搭載している点です。これにより、セキュアなキーストレージを提供しています。

公開鍵とは

公開鍵とは、公開鍵暗号方式の暗号化において使用する鍵のこと。

公開鍵暗号方式とは

公開鍵暗号方式は、暗号化と復号に別々の鍵を使用する暗号化アルゴリズム。公開鍵暗号方式では、暗号化用に公開鍵(パブリック鍵)、復号用には秘密鍵(プライベート鍵)という2種類の鍵を使用する。

暗号化については、以下の記事をご覧ください。

暗号化・復号とは?仕組み・種類・定義をわかりやすく解説

暗号化アルゴリズムとは?種類・定義・意味をわかりやすく解説

MAX32552の特徴

MAX32552は、Cortex-M3を搭載したマイコンです。MAX32552の特徴は、XiP QuadSPIインターフェースを備えている点です。

XIP(Execute in Place)とは、アプリケーションのコードやデータを、RAMに転送するのではなく、不揮発性フラッシュメモリのデータに直接アクセスする手法のことです。

RAM(読み方:ラム)とは

RAMとは、Random Access Memory(ランダム・アクセス・メモリ)の略。書き込みが可能なメモリのこと。電源を切るとデータが失われる性質(揮発性)を持ち、読み出しだけではなく、書き込みも可能。

RAMについては、以下の記事をご覧ください。

マイコンのROM(ロム)とRAM(ラム)の違いは何ですか?

一般的に、フラッシュメモリをマイコンに内蔵している場合と、フラッシュメモリを内蔵せず外付けにした場合では、フラッシュメモリを外付けした方が安価とされています。

このため、XiP QuadSPIインターフェースに対応しているMAX32552は、マイコン単体としてのコストメリットがあります。

ただし、デメリットとして、フラッシュメモリのリードの時間は、RAMと比較すると遅いという点が挙げられます。

フラッシュメモリとは

フラッシュメモリとは、記憶装置の1つ。電源を切っても記憶内容が維持される、不揮発性の半導体メモリ・ROM。本来、ROMは、データの消去や書き込みができないが、フラッシュメモリは、例外的にデータの消去や書き込みができるROM。

なお、フラッシュメモリについては、詳しくは、下記のページをご覧ください。

フラッシュメモリ(フラッシュROM)とは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

MAX32555の特徴

MAX32555は、Cortex-M3を搭載したマイコンです。MAX32555の特徴は、公開鍵認証を備えたセキュアブートローダーを搭載している点です。これにより、セキュアなキーストレージを提供しています。

また、MAX32555は、mPOS用の業界初のセキュアSoCマイコンでもあります。

mPOS(読み方:エムポス)

Mobileの「M」と販売管理端末である「Point of Sales:POS」の造語。mPOSとは、スマートフォンやタブレットと連動した決済サービスのこと。

SoC(読み方:エスオーシー)とは

SoC(読み方:エスオーシー)とは、異なる機能を持つ複数のLSIを一つの集積回路に集約したもの。全体として一つのシステムとして機能するよう設計されているため、「システムオンチップ」を略し、「SoC」と呼ばれる。SoCは、システムLSIとも呼ばれる。

なお、SoCについては、詳しくは、下記の記事をご覧ください。

半導体のSoC(システムオンチップ)、システムLSIとは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

ポイント
  • MAX32550:公開鍵認証を備えたセキュアブートローダーを搭載
  • MAX32552:XiP QuadSPIインターフェースを搭載
  • MAX32555:mPOS用の業界初のセキュアSoCマイコン

MAX3255シリーズの入手方法

MAX3255シリーズのマイコンは、下記のMaxim Integratedの販売店・代理店などで購入できます。

MAX3255シリーズの開発環境

MAX3255シリーズに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • MAX-IDE

MAX3255シリーズ評価ボード

MAX3255シリーズの代表的な評価ボードは、下記の通りです。

評価ボードの名称 搭載マイコン 対象者 データシート
MAX3255X-KIT MAX32550、MAX32552、MAX32555 すぐに評価・開発をスタートしたい Maxim Integratedのウェブサイトからリクエスト

MAX3255X-KIT

FM3-80PMC-MB9BF524Mは、MAX32550、MAX32552、MAX32555の評価ボードです。開発に必要なサンプルソフトウェア、ドキュメントなどが含まれているため、すぐに評価・開発をスタートできます。

MAX3255の対応OS

MAX3255に対応している代表的なOSは、以下の通りです。

  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。

μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。

小さいフットプリント
マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
μC3/Configurator付属
選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
豊富なCPUサポート
業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
省電力対応
デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。

詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

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保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ

MAX3255とμC3/Compactの導入事例

  • システム開発会社製 決済タブレット