【TI】OMAP L13xとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

OMAP L13xは、テキサス・インスツルメンツ社(以下TI社)のプロセッサです。OMAP L13xはARM926EJ-Sコアと、TMS320C674x DSPコアを搭載した、デュアルコアSoCです。低消費電力アプリケーションに最適です。

OMAP L13xのラインアップ・仕様

OMAP-L132 OMAP-L137 OMAP-L138 OMAPL138-EP
DSP 1 C674x 1 C674x 1 C674x 1 C674x
Arm CPU 1 Arm9 1 Arm9 1 Arm9 1 Arm9
Operating system Linux, SYS/BIOS Linux, TI-RTOS Linux, SYS/BIOS Linux, SYS/BIOS
Other on-chip memory 128 KB 128 KB 128 KB 128 KB
On-chip L2 cache/RAM 256 KB (DSP) 256 KB (DSP) 256 KB (DSP) 256 KB (DSP)
Total on-chip memory (KB) 448 448 448 448
DSP MHz 200 375, 456 456 345
DRAM DDR2, LPDDR SDRAM DDR2, LPDDR LPDDR,DDR2
Ethernet MAC 10/100 10/100 10/100 10/100
Serial I/O I2C, McASP, McBSP, SPI, UART McASP, SPI, I2C, UART I2C, McASP, McBSP, SATA, SPI, UART McASP, McBSP, SPI, I2C, UART, SATA
SPI 2 2 2 2
I2C 2 2 2 2
USB 1 2 2 2

出典:C6000 DSP + ARM プロセッサ – 製品

OMAP L13xとは

C6000 DSP + Armとは

C6000 DSP + Armは、TI社が提供しているプロセッサシリーズです。C6000 DSP + Armは、DSPとArmコアを搭載しています。

DSP(読み方:ディーエスピー)とは

DSP(デジタルシグナルプロセッサ・Digital Signal Processor)とは、積和演算の高速な処理に特化したプロセッサのこと。主にオーディオや画像の信号処理や、モータの制御、計測、遠隔通信などの処理において使用される。

半導体のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)とは?

C6000 DSP + ArmはSoCとなっており、システムレベルで消費電力の低減とリアルタイム性能を実現しています。

SoC(読み方:エスオーシー、ソック)とは

SoCとは、プロセッサの種類の一つ。SoCとは、システムに必要なあらゆる機能を1つのチップ上に搭載したもの。SoCは、「システムを一つのチップ上に載せる」を意味する「System on a Chip」の略。システム全体をチップ上に搭載することで、小型化が可能になるというメリットがある。また、システムの内部接続により消費電力も抑えられる。

半導体のSoC(システムオンチップ)、システムLSIとは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

C6000 DSP + Armのラインアップ

C6000 DSP + Armのラインアップは、以下の通りです。

  • OMAP-L1x
  • 66AK2x

OMAP L13xの特徴

OMAP L13xは、低消費電力アプリケーションプロセッサです。ARM926EJ-Sコアと、TMS320C674x DSPコアを搭載した、デュアルコアSoCです。

デュアルコアとは

デュアルコアとは、マルチコアの種類の一つ。コアを2つ搭載したマルチコアのこと。

マルチコアとは

マルチコアとは、1つのCPUの中に複数のCPUコアを内蔵する技術のこと。マルチコアのプロセッサは、複数の処理を並列しておこなうことで、シングルコアに比べ高い処理能力を実現している。

組込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説

ARM926EJ-S MPUは、縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャを元に設計されています。

このためOMAP L13xには、DSPと縮小命令セットコンピュータ(RISC)テクノロジの両方の利点があります。

縮小命令セットコンピュータ(RISC)とは

RISCとは、「縮小命令セットコンピュータ」を意味するReduced Instruction Set Computerの略で、CPUのアーキテクチャの一種。すべての命令の語調と実行時間を単一に揃えており、全ての処理を1クロックで実行できる仕様を指す。

OMAP L13xの入手方法

OMAP L13xは、TI社の販売特約店や以下のオンラインショップなどで購入できます。

OMAP L13xの開発環境

OMAP L13xに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • IAR Embedded Workbench for ARM(OMAP-L138のみ)
  • Code Composer Studio

OMAP L13x評価ボード

OMAP L13xの評価ボードは、以下の通りです。

搭載マイコン 特徴 対象 データシート
OMAP-L138 開発キット(LCDK) OMAP-L138 ボード回路図や設計ファイルを完備、豊富なインターフェース、拡張ヘッダー さまざまな機能を評価したい方 OMAP-L138 開発キット(LCDK)のデータシート
OMAP-L137 浮動小数点スタータ・キット OMAP-L137 Code Composer Studio IDEを同梱 製品設計をすぐに始めたい方

OMAP-L138 開発キット(LCDK)

OMAP-L138 開発キット(LCDK)は、OMAP-L138を搭載しています。

OMAP-L138 開発キット(LCDK)は、ボード回路図や設計ファイルを完備しており、容易に設計が可能です。また、豊富なインターフェースにより、オーディオ、ビデオなどの信号を簡単にボードに取り込めます。更に、LCD画面やカメラセンサーなどの拡張ヘッダーを使用すると、ボードの機能を拡張できます。

これらの特長からOMAP-L138 開発キット(LCDK)は、「さまざまな機能を評価したい」という方に最適の評価ボードです。

OMAP-L137 浮動小数点スタータ・キット

OMAP-L137 浮動小数点スタータ・キットは、OMAP-L137を搭載しています。

OMAP-L137 浮動小数点スタータ・キットは、スタータ・キットでの使用が可能になるCode Composer Studio IDEが同梱されています。また、DSP / BIOSカーネルを含むeXpressDSPソフトウェアを使用することで、シームレスな開発が可能です。

これらの特長からOMAP-L137 浮動小数点スタータ・キットは、「製品設計をすぐに始めたい」という方に最適の評価ボードです。

OMAP L13xの対応OS

OMAP L13xに対応している代表的なOSは、以下の通りです。

  • TI-RTOS
  • Linux
  • Mentor Graphics Nucleus RTOS
  • NORTi
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのリアルタイムOSです。

μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特徴を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。

ARM Cortex-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。

OMAP L13xとμC3/Standardの導入事例

  • 無線通信機器メーカー製 無線通信機器