SAMA5シリーズとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

SAMA5シリーズは、Microchipのマイクロコントローラです。SAMA5シリーズは、Cortex-A5を搭載し、最大600MHzで動作します。高度なセキュリティ機能や、ビデオデコーダーを搭載しています。

SAMA5シリーズの仕様

SAM V70 SAM V71 SAM V71
CPUコア Cortex-M7 Cortex-M7 Cortex-M7
自動車製品への使用 Yes Yes Cortex-M7
最大CPU速度(MHz) 300 300 Cortex-M7
最大プログラムメモリサイズ (KB) 1024 2048 Cortex-M7
最大SRAM (KB) 384 384 Cortex-M7
DRAMインターフェース sdram sdram Cortex-M7
SDIO/SD-CARD/eMMC(最大) 1 1 Cortex-M7
温度範囲  -40 to 105  -40 to 105 Cortex-M7
動作電圧範囲 1.7V – 3.6V 1.7V – 3.6V Cortex-M7
ダイレクトメモリアクセスチャンネル(最大) 24 24 Cortex-M7
ADC入力(最大) 24 24 Cortex-M7
最大ADC解像度 12 12 Cortex-M7
DACの数 1 1 Cortex-M7
USBインターフェース High speed Cortex-M7 High speed
USBモジュールの数 1 1 Cortex-M7
コンパレータの数(最大) 1 1 Cortex-M7
タイマー 12 x 16-bit 0 x
32-bit
12 x 16-bit 0 x
32-bit
Cortex-M7
キャプチャ/比較/PWM/周辺機器 8 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 8 -Input Capture

24 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 24 -Input Capture

8 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 8 -Input Capture

24 -Std. PWM 16-bit PWM resolutions 24 -Input Capture

Cortex-M7
モーター制御PWM出力(最大) 17 17 Cortex-M7
UART/SPI/I2C(最大) 8 -UART 5 -SPI 3 -I2C 8 -UART 5 -SPI 3 -I2C Cortex-M7
I2S(最大) 3 3 Cortex-M7
周辺ピンセレクト/ピンマルチプレクサ Cortex-M7
QSPI(最大) 1 1 Cortex-M7
直交エンコーダ インターフェイス(最大) 0 4 Cortex-M7
暗号エンジン Cortex-M7
CANモジュールの数(最大) 2 0 Cortex-M7
CANモジュールのタイプ CAN-FD CAN-FD Cortex-M7
Ethernet なし Ethernet AVB Cortex-M7
ピン数(最大) 144 144 Cortex-M7
パッケージ 100/LQFP 100/TFBGA
144/LQFP 144/TFBGA
100/LQFP
100/LQFP 100/TFBGA
144/LQFP 144/TFBGA
Cortex-M7

SAMA5シリーズとは

SAMA5シリーズの特徴

SAMA5高性能、超低電力Arm Cortex-A5コアベースのマイクロプロセッサ(MPU)は、DDR3、LPDDR3、QSPIフラッシュなどの複数のメモリをサポートします。豊富な周辺機器、ユーザーインターフェイス、堅牢なセキュリティ機能により、コントロールパネル/ HMI、安全なIoTゲートウェイ、接続、バーコードスキャナー、プリンター、POS端末アプリケーションの設計が簡素化されます。低電力機能と小さなパッケージは、ウェアラブルやその他のバッテリー駆動の消費者向けデバイスに最適です。幅広いサードパーティ製品が、開発キットとソフトウェアサポートを補完します。

原文は、以下の通りです。

SAMA5 high-performance, ultra-low power Arm Cortex-A5 core based microprocessors (MPUs) support multiple memories, including DDR3, LPDDR3 and QSPI Flash. A rich set of peripherals, user interfaces and robust security features simplify the design for control panels/HMI, secure IoT gateways, connectivity, barcode scanners, printers and POS terminal applications. The low-power features and small packages are ideal for wearables and other battery-operated consumer devices. A wide range of third-party offerings complements our development kits and software support.

出典:SAMA5 MPUs

 

SAMA5シリーズのラインアップ

SAMA5シリーズのラインアップは、下記の通りです。

  • SAMA5D2
  • SAMA5D3
  • SAMA5D4

SAMA5シリーズの特徴

SAMA5の高性能で超低電力なArm Cortex-A5コアベースのマイクロプロセッサ(MPU)は、DDR3、LPDDR3、QSPIフラッシュなどの複数のメモリをサポートします。豊富な周辺機器、ユーザーインターフェイス、堅牢なセキュリティ機能により、コントロールパネル/ HMI、安全なIoTゲートウェイ、接続、バーコードスキャナー、プリンター、POS端末アプリケーションの設計を簡素化します。低電力機能と小さなパッケージは、ウェアラブルやその他のバッテリー駆動の消費者向けデバイスに最適です。幅広いサードパーティ製品が、開発キットとソフトウェアサポートを補完します。

原文は、以下の通りです。

SAMA5 high-performance, ultra-low power Arm Cortex-A5 core based microprocessors (MPUs) support multiple memories, including DDR3, LPDDR3 and QSPI Flash. A rich set of peripherals, user interfaces and robust security features simplify the design for control panels/HMI, secure IoT gateways, connectivity, barcode scanners, printers and POS terminal applications. The low-power features and small packages are ideal for wearables and other battery-operated consumer devices. A wide range of third-party offerings complements our development kits and software support.

出典:Arm® Cortex®-A5 Based MPUs

SAMA5D2シリーズの3つの特徴

SAMA5D2シリーズの特徴は、以下の3点です。

  1. PCI認証を含む高度なセキュリティ機能
  2. 低消費電力
  3. ペリフェラルタッチコントローラー(PTC)を搭載

【特徴1】PCI認証を含む高度なセキュリティ機能

SAMA5D2シリーズは、PCI 5.Xを満たしており、決裁アプリケーション用に認証されています。

PCI(読み方:ピーシーアイ)とは

PCIとは、クレジットカード業界で定められたセキュリティ規格のこと。PCIとは、Payment Card Industryの略。

このほか、AES / 3DES、TRNG、SHAをサポートする暗号化エンジン、改ざん検知ピンなどが搭載されています。

暗号化とは

暗号化とは、データを第三者が解読できないように一定のルールのもとに変換すること。暗号化によって、権限の無い照会や使用からデータを保護する。

暗号化や、暗号化エンジンについては、以下のページをご覧ください。

暗号化・復号とは?仕組み・種類・定義をわかりやすく解説

暗号化アルゴリズムとは?種類・定義・意味をわかりやすく解説

【特徴2】低消費電力

SAMA5D2シリーズは、低消費電力なデバイスです。500MHzのアクティブモードでは、150mW未満の消費電力です。また、低電力モードでは、0.5mW未満で動作します。

【特徴3】ペリフェラルタッチコントローラー(PTC)を搭載

SAMA5D2シリーズは、ペリフェラルタッチコントローラー(PTC)を搭載しています。

ペリフェラルタッチコントローラー(PTC)とは

ペリフェラルタッチコントローラー(PTC)は、Microchipが提供している内臓ハードウェア モジュールのこと。ボタン、スライダ、ホイール、サーフェスとして機能するセンサを静電容量式タッチで計測できる。

以上の特徴から、SAMA5D2シリーズは、高度なセキュリティ機能を搭載したデバイスです。

SAMA5D3シリーズの3つの特徴

SAMA5D3シリーズの特徴は、以下の3点です。

  1. 高い接続性
  2. 低消費電力
  3. Gbit Ethernetを搭載

【特徴1】高い接続性

SAMA5D3シリーズは、高い接続性を持っています。

SAMA5D3シリーズは、UART×7、SPI×6、TWI×3、CAN×2などを搭載しています。

【特徴2】低消費電力

SAMA5D3シリーズは、低消費電力なデバイスです。536MHzのアクティブモードでは、150mW未満の消費電力です。また、低電力モードでは、0.5mW未満で動作します。

【特徴3】Gbit Ethernetを搭載

SAMA5D3シリーズは、Gigabit Ethernetを搭載しています。

Gigabit Ethernet(読み方:ギガビットイーサネット)とは

Gigabit Ethernetとは、イーサネットのうち、1Gbpsでの通信に対応したもの。

以上の特徴から、SAMA5D3シリーズは、低消費電力、高性能が必要な産業用アプリケーションに最適なデバイスです。

イーサネット、産業用イーサネットについては、以下の記事をご覧ください。

有線LAN規格のイーサネット(Ethernet)とは?種類・意味・定義を入門者向けにわかりやすく説明

産業用イーサネット(Ethernet)とは?種類・意味・定義を入門者向けにわかりやすく説明

SAMA5D4シリーズの2つの特徴

SAMA5D4シリーズの特徴は、以下の2点です。

  1. 600MHzの動作周波数
  2. 720P HWビデオデコーダーを搭載

【特徴1】600MHzの動作周波数

SAMA5D4シリーズは、600MHzで動作します。

動作周波数(クロック周波数)とは

動作周波数(クロック周波数)とは、CPUの性能を示す指標の一つ。動作周波数(クロック周波数)は、CPUが処理を同期させるために用いる信号(=クロック)の周波数のこと。

SAMA5D4シリーズは、SAMA5シリーズの中で、最も動作周波数が高く、性能が高いデバイスです。

動作周波数については、以下のページをご覧ください。

マイコン・CPUの動作周波数(クロック周波数)とは?初心者向けに意味・定義をわかりやすく解説

【特徴2】ビデオデコーダーを搭載

SAMA5D4シリーズは、720pハードウェアビデオデコーダーを搭載しています。

このビデオデコーダーは、H264 / 263、VP8、JPEGをサポートしています。

これらの特徴から、SAMA5D4シリーズは、ビデオの再生を必要とするアプリケーションに最適なデバイスです。

ポイント
  • SAMA5D2:高度なセキュリティ機能
  • SAMA5D3:Gbit Ethernetを搭載
  • SAMA5D4:720pハードウェアビデオデコーダーを搭載

SAMA5シリーズの入手方法

SAMA5シリーズのマイコンは、Microchipの正規販売店で購入できます。

SAMA5シリーズの開発環境

SAMA5シリーズに対応した代表的な開発環境は、以下のとおりです。

  • IAR Embedded Workbench for ARM
  • ARM DS-5

SAMA5シリーズの評価ボード

SAMA5シリーズの評価ボードは、以下の通りです。

ボード 対応CPU 特徴 対象 データシート
SAMA5D2 Xplained Ultra SAMA5D2 eMMC、DDR3メモリや、接続オプションのセットが含まれる すぐにSAMA5D2を評価したい方 SAMA5D2 Xplained Ultraのデータシート
SAMA5D3 Xplained SAMA5D3 接続およびストレージ周辺機器と拡張ヘッダーの豊富なセットが含まれる すぐにSAMA5D3を評価したい方 SAMA5D3 Xplainedのデータシート
SAMA5D4 Xplained Ultra SAMA5D4 豊富な接続、LCD、HDMIインターフェイス、組み込みデバッグインターフェイスユニット、および簡単にカスタマイズできるストレージ周辺機器と拡張ヘッダーが含まれる すぐにSAMA5D4を評価したい方 SAMA5D4 Xplained Ultraのデータシート

SSAMA5D2 Xplained Ultra

SAMA5D2 Xplained Ultraは、SAMA5D2の評価ボードです。

SAMA5D2 Xplained Ultraは、eMMC、DDR3メモリや、接続オプションのセットが含まれています。

これらの特徴からSAMA5D2 Xplained Ultraは、「すぐにSAMA5D2を評価したい」という方に最適な評価ボードです。

SAMA5D2C-XULTの価格・購入場所

SAMA5D3 Xplained

SAMA5D3 Xplainedは、SAMA5D3の評価ボードです。

SAMA5D3 Xplainedは、すぐに使用できる接続およびストレージ周辺機器と拡張ヘッダーの豊富なセットが付属されています。

これらの特徴からSAMA5D3 Xplainedは、「すぐにSAMA5D3を評価したい」という方に最適な評価ボードです。

SAMA5D3 Xplainedの価格・購入場所

SAMA5D4 Xplained Ultra

SAMA5D4 Xplained Ultraは、SAMA5D4の評価ボードです。

SAMA5D4 Xplained Ultraは、すぐに使用できる豊富な接続、LCD、HDMIインターフェイス、組み込みデバッグインターフェイスユニット、および簡単にカスタマイズできるストレージ周辺機器と拡張ヘッダーが付属しています。

これらの特徴からSAMA5D4 Xplained Ultraは、「すぐにSAMA5D4を評価したい」という方に最適な評価ボードです。

SAMA5シリーズの対応OS

SAMA5シリーズに対応しているOSは以下の通りです。

  • FreeRTOS
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)(SAMA5D3のみ)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

ARM Cortex-Aシリーズ、ARM Cortex-Rシリーズだけでなく、高性能な ARM Cortex-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

32/64bitの高性能プロセッサに最適化
割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
豊富なプロセッサ・サポート
業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
マルチコア対応
組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
豊富なデバイスドライバを用意
I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 研究開発用プロジェクトライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。

ポイント
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス

ライセンスの詳細

  • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
  • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
  • 提供形態 :ソースコード
  • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

資料ダウンロード(無料)

保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。

また、年間保守費用は製品定価の40%になります。

無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)

*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。

保守サービスには以下が含まれています。

  • メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
  • 製品の無償バージョンアップ