i.MX 8M Plusは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)のプロセッサです。i.MX 8M Plusは、4つもしくは2つのCortex®-A53とCortex®-M7を搭載し、最大1.8GHzで動作します。
i.MX 8M Plusの仕様
MIMX8ML3 | MIMX8ML4 | MIMX8ML6 | MIMX8ML8 | |
---|---|---|---|---|
Core Type | 2 x Arm® Cortex®-A53 | 2 x Arm® Cortex®-A53 | 2 x Arm® Cortex®-A53 | 2 x Arm® Cortex®-A53 |
Operating Frequency [Max] (MHz) | 1800 | 1800 | 1800 | 1800 |
L2 Cache (Max) (KB) | 512 | 512 | 512 | 512 |
Co Processor Type | Arm® Cortex®-M7 | Arm® Cortex®-M7 | Arm® Cortex®-M7 | Arm® Cortex®-M7 |
Co Processor Frequency (MAX) (MHz) | 800 | 800 | 800 | 800 |
External Memory Supported[Max] | DDR4 SDRAM, ECC, L2 CACHE, LPDDR4 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI | DDR4 SDRAM, ECC, L2 CACHE, LPDDR4 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI | DDR4 SDRAM, ECC, L2 CACHE, LPDDR4 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI | DDR4 SDRAM, ECC, L2 CACHE, LPDDR4 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, QSPI |
GPU 2D / GPU 3D | Shader, Vivante GC520L, Vivante GC7000UL | Shader, Vivante GC520L, Vivante GC7000UL | Shader, Vivante GC520L, Vivante GC7000UL | Shader, Vivante GC520L, Vivante GC7000UL |
HW Video Encoder / Decoder | HD1080p60 H.264, HD1080p60 H.265 | HD1080p60 H.264, HD1080p60 H.265 | HD1080p60 H.264, HD1080p60 H.265 | |
Camera Interfaces | 2 x MIPI-CSI | 2 x MIPI-CSI | 2 x MIPI-CSI | 2 x MIPI-CSI |
PCIe | 1 x PCIe 3.0 | 1 x PCIe 3.0 | 1 x PCIe 3.0 | 1 x PCIe 3.0 |
i.MX 8M Plusとは
i.MXシリーズとは
i.MXシリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの特長は、Arm®コアを搭載し、低消費電力であることです。
i.MXシリーズのラインアップ
i.MXシリーズのラインアップは、以下の通りです。
- i.MX RTシリーズ :産業用IoTアプリケーション向け
- i.MX 6シリーズ :自動車、産業用アプリケーション向け
- i.MX 7シリーズ :ポータブルIoTアプリケーション向け
- i.MX 8シリーズ :グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向け
- i.MX28 :自動車、産業用アプリケーションの電源管理および接続機能向け
i.MX 8M Plusは、グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向けの「i.MX 8シリーズ」に属します。
i.MX 8シリーズとは
i.MX 8シリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MX 8シリーズは、シングルコア、デュアルコア、およびクアッドコアの製品を展開しています。
シングルコアとは
シングルコアとは、コアを1つだけ内蔵したプロセッサのこと。シングルコアは、通常マルチコアと対比する文脈において使われる言葉。
デュアルコア・クアッドコアとは
コアを複数搭載したマルチコアのうち、コアを2つ搭載したものをデュアルコア、コアを4つ搭載したものをクアッドコアと言う。
i.MX 8シリーズは、Cortex®-A72 + Cortex®-A53, Cortex®-A35, Cortex®-M4,Cortex®-M7を搭載しており、高度なグラフィックス、オーディオ、ビデオ向けのアプリケーションに適したデバイスです。
i.MX 8シリーズのラインアップ
i.MX 8シリーズのラインアップは、以下の通りです。
- i.MX 8 :高度なグラフィックス
- i.MX 8M Plus :機械学習
- i.MX 8M :高度なオーディオ
- i.MX 8M Mini :メディアIoT・組込み産業用IoT
- i.MX 8M Nano :メディアIoT・組込み産業用IoT
- i.MX 8X :安全性を証明
この記事では、機械学習向けの「i.MX 8M Plus」を紹介します。
i.MX 8M Plusとは
i.MX 8M Plusは高い信頼性があり、機械学習、映像、先進的マルチメディア、産業オートメーションに最適です。スマートシティやインダストリー4.0におけるニーズを満たすよう設計されています。
- 最大2.3TOPSで動作するニューラルプロセッシングユニット(NPU)を備えた、強力なクワッドもしくはデュアルのArm® Cortex®-A53プロセッサ
- 先進的な映像システムのためのデュアルイメージシグナルプロセッサ(ISP)と2つのカメラ装置
- 映像エンコード(H.265)とデコード、3D / 2Dグラフィックアクセラレーションに対応し、複数のオーディオと音声機能を持つマルチメディア性能
- Cortex®-M7によるリアルタイム制御。デュアルCAN FDによる安定したネットワークとタイム・センシティブ・ネットワーキング(TSN)で実現するギガビットイーサネット
- ECC機能付きのDRAMを備えた高い信頼性
i.MX 8M Plusは、最大4つのCortex®-A53と1つのCortex®-M7を搭載しています。Cortex®-A53は最大1.8GHzで動作し、Cortex®-M7は最大800MHzで動作します。
i.MX 8M Plusは、機械学習、映像、マルチメディア、産業IoTに適したデバイスです。
【特長1】マルチコア処理
i.MX 8M Plusは、最大2.3TOPSで動作するNPUを備えた最大4つのCortex®-A53と1つのCortex®-M7を搭載しています。Cortex®-A53は最大1.8GHzで、Cortex-M7は最大800MHzで動作します。
i.MX 8M Plusのラインアップは、以下の通りにコアを搭載しています。
- i.MX 8M Plus Quad :2 x Arm® Cortex®-A53,Arm® Cortex®-M7
- i.MX 8M Plus QuadLite :4 x Arm® Cortex®-A53,Arm® Cortex®-M7
- i.MX 8M Plus Dual :4 x Arm® Cortex®-A53,Arm® Cortex®-M7
【特長2】高い映像効果
ISPと2つのカメラ装置を搭載し、先進的な映像システムを実現します。
【特長3】マルチメディア機能とディスプレイ
i.MX 8M Plusは、デコード・エンコード・3D / 2Dグラフィック・ビデオなどの豊富なマルチメディア機能を搭載しています。
仕様
- 映像デコード : 1080p60, h.265/4, VP9, VP8
- 映像インコード : 1080p60, h.265/4
- GPU : 16 GFLOPS (high-precision) OpenGLR ES 3.1/3.0, VulkanR, Open CL 1.2 FP, OpenVG 1.1
- オーディオ : 18x I2S TDM, DSD512, S/PDIF Tx + Rx, 8-ch PDM Mic input, eARC, ASRC
- 省エネ音声アクセラレーター : CadenceR TensilicaR HiFi 4 DSP @ 800 MHz
- ディスプレイ : MIPI-DSI, HDMI 2.0a Tx, LVDS (4/8-lane) Tx
【特長4】高速インターフェース
デュアルCAN FDによる安定したネットワークとTSNによるギガビットイーサネットを実現します。
- 2つの Gigabit Ethernet with AVB, IEEE 1588, EEE と1つの w/ TSN
- 2つの USB 3.0/2.0 (PHY type Cのデュアルロール)
- PCIe Gen 3
- 3つのSDIO 3.0
- 2つの CAN FD
【特長5】高い信頼性
i.MX 8M Plusは、14LPC FinFETプロセス技術とECC機能付きDRAMを採用しています。
14LPC FinFETとは、14nmのLPC(Low Power Compact) FinFET (Fin Field-Effect Transistor )を指します。
FinFET(読み方:フィンフェット)とは
FinFETとは、Fin Field-Effect Transistorの略で、プロセスノードのタイプの一つ。ゲートがチャネルの2面、3面、4面、またはチャネルを包むように位置している。
FinFETの特長は、高速動作、高集積化、漏れ電流対策に適しており、信頼性が高いことです。これにより、産業レベルの動作に耐えられるようになり、工場などの過酷な環境で最低10年間の連続動作が可能です。
また、DRAMにはデータ破損時の検出や修正ができるECC機能が付いており、重要なデータを扱うシステムへの利用も適しています。
i.MX 8M Plusの使い方(アプリケーション)
i.MX 8M Plusは、以下のアプリケーションに適しています。
- 住宅やビルのオートメーション
- 住宅やビルのセキュリティおよび監視システム
- 在庫管理やサプライチェーンマネジメントシステム
- フリート分析やドライバー管理システム
- スマート家電製品
i.MX 8M Plusの入手方法
i.MX 8M Plusは、NXP社の正規販売店や下記のオンラインショップなどで購入できます。
i.MX 8M Plusの開発環境
i.MX 8M Plusに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。
- IAR Embedded Workbench
- MCUXpresso
i.MX 8M Plus 評価ボード
i.MX 8M Plusの評価ボードは、以下の通りです。
搭載CPU | 特長 | 対象 | データシート | |
---|---|---|---|---|
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processor | i.MX 8M Plus Quad | NXP社純正の評価ボード
MIPI-DSIをHDMIに接続できるアクセサリ・ボード、USBケーブルなどを同梱 |
NXP社純正の評価ボードを使用したい方
すぐに開発をスタートしたい方 |
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processorのデータシート |
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processor
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processorは、NXP社純正の評価ボードです。
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processorは、評価ボードの他、MIPI-DSIをHDMIに接続できるアクセサリ・ボード、USBケーブルなどが同梱されています。
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processorは、「NXP社純正の評価ボードを使用したい」「すぐに開発をスタートしたい」という方に最適な評価ボードです。
Evaluation Kit for the i.MX 8M Plus Applications Processorの価格・購入場所
i.MX 8M Plusの対応OS
i.MX 8M Plusに対応している主なOSは、以下の通りです。
- Linux
- Android
- FreeRTOS
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。
μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。
Arm® Cortex®-Aシリーズ、Arm® Cortex®シリーズだけでなく、高性能な Arm® Cortex®-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。
- 32/64bitの高性能プロセッサに最適化
- 割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
- 豊富なプロセッサ・サポート
- 業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサ
- ポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
- マルチコア対応
- 組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
- 豊富なデバイスドライバを用意
- I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)
詳しい資料をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
マルチコアAMP拡張版RTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard+M」
μC3/Standard+Mは、μC3/StandardにAMP型のマルチコア拡張を追加したマルチコアプロセッサ向けのRTOSです。
μITRON4.0のスタンダード・プロファイルをベースに、AMP型の特長を活かしたコア毎の処理・リソースの割り当て、コア間連携のためのAPIを追加しています。
Arm® Cortex®-Aシリーズを中心にマルチコアのMPUをサポートしています。
- リアルタイム処理に最適なAMP型カーネル
- 自由にタスクや資源を各CPUに割り当てることで、システムの負荷分散が容易に実現できます。
- μITRON APIによるCPU間通信機能
- タスク間通信などの機能をCPU間通信でも実現ができ、シングルコアと同様にプログラミングができます。
- 一括リンクによるコード効
- 率の向上
- コア別のプログラムを一括リンクすることで、より効率の良いプラグラミングができます。
- 多彩なミドルウェアや豊富なデバイスドライバを用意
- μC3/Standard対応のミドルウェアやデバイスドライバを利用できます。
詳しい資料をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
μC3のライセンスの種類・詳細
ライセンスの種類
ライセンスの種類は3つあります。
- 開発量産用プロジェクトライセンス
- プラットフォームライセンス
- 研究開発用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。
有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。
プラットフォームライセンス
プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。
研究開発用プロジェクトライセンス
研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。
ライセンス費用は、開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。
有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。
ポイント
- 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
- プラットフォームライセンス :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
- 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録いただく必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。
お客様のご要望にあわせて適切な範囲で設定させていただきますので、まずは、担当営業にご相談下さい。
ライセンスの詳細
-
- ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
- 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
- 提供形態 :ソースコード
- 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
- 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
- μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています
ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。
保守について
製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。
無償保守サービス終了後は有償での保守サービスとなります。そのまま継続でのご利用の場合、製品価格(研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の20%、非継続の後に再加入をされたい場合は研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の40%となります。
プロジェクトライセンスと1年間の保守サービスを同時にご購入いただいた場合は、初回に限り15%とさせていただきます。
保守サービスには以下が含まれています。
- 製品の無償バージョンアップ対応
- コンパイラのバージョンアップ対応
- メールによる技術サポートサービス(1営業日以内に1次回答)