Kinetis® シリーズは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)の32ビットマイコンです。
その中でもKinetis® Lシリーズは、Arm® Cortex®-M0+コアを搭載し、省電力とエネルギー効率を両立するマイコンシリーズです。
Kinetis® の製品ライン
Kinetis® の製品ラインは、下記の通りです。
製品ライン | 概要 |
---|---|
Kinetis® Kシリーズ | 600以上の互換性のある低電力かつ高性能32ビットマイコンシリーズ |
Kinetis® Lシリーズ | 超低電力のマイコンシリーズ |
Kinetis® Eシリーズ | 複雑な電気的ノイズ環境および高信頼性アプリケーション向けシリーズ |
Kinetis® EAシリーズ | 車載用シリーズ |
Kinetis® Mシリーズ | 1、2および3相電気メータや、流量計その他の精密測定アプリケーション向けシリーズ |
Kinetis® Vシリーズ | BLDC、PMSMおよびACIMモータ制御や、デジタルパワー変換アプリケーション向けシリーズ |
Kinetis® Wシリーズ | 組み込みワイヤレスソリューション用に最適化されたシリーズ |
出典:Digi-Key Electronics「Kinetis 32ビットMCU」
Kinetis® Lシリーズの仕様
CPU | Packages |
Comms | HMI | Security | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Products | Arm® Cortex®-M0+ | Memory | Type | Pin Count | I²S | USB Full-Speed | FlexIO | Segment LCD | HW Encryption | Tamper Detection |
KL8x | 72 MHz (Up to 96 MHz) | 128 KB Flash、96 KB SRAM | LQFP、MAPBGA、WLCSP | 64~121 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
KL4x | 48 MHz | 128~256 KB Flash、16~32 KB SRAM | LQFP、MAPBGA | 64~121 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | – | – |
KL3x | 48 MHz | 32~256 KB Flash、4~32 KB SRAM | LQFP、MAPBGA | 64~121 |
〇 | – |
〇 | 〇 | – | – |
KL2x | 48 MHz / 72MHz (Up to 96) | 32~512 KB Flash、4~128 KB SRAM | LQFP、QFN、MAPBGA、XFBGA、WLCSP | 32~121 |
〇 | 〇 | 〇 | – | 〇 | – |
KL1x | 48 MHz | 32~256 KB Flash、4~32 KB SRAM | LQFP、QFN、MAPBGA、XFBGA、WLCSP | 32~80 | 〇 | – |
〇 | – | – | – |
KL0x | 48 MHz | 8~32 KB Flash、1~4 KB SRAM | LQFP、QFN、WLCSP | 16~48 | – |
– | – |
– | – | – |
出典:Kinetis® L Series: Ultra-Low Power Microcontrollers (MCUs) based on Arm® Cortex®-M0+ Core
Kinetis® Lシリーズとは
Kinetis® Lシリーズは、互換性、低電力、高性能を特徴とする32ビットMCUです。Arm® Cortex®-M0+が実現する省電力性とエネルギー効率により、IoTアプリケーション向けソリューションとしても柔軟に対応できます。
出典:Kinetis® L Series: Ultra-Low Power Microcontrollers (MCUs) based on Arm® Cortex®-M0+ Core
【特長1】省電力
電力効率を重視した設計で、消費電力の最適化に役立つ周辺機器を備えています。
【特長2】コンパクトなパッケージオプションにも対応
8mm x 8mm XFBGA-121、10mm x 10mm LQFP-100から、KinetisKL03MCUの超小型2mmx1.61mmウェーハレベルチップスケールパッケージまで、豊富なパッケージオプションに対応します。
【特長3】使いやすさ
Kinetis® ソフトウェア開発キットなどを含むセットを活用することで、簡単に開発ができます。Kinetis® Kシリーズの開発をする前に、Kinetis® Lシリーズでシンプルな開発を経験しておくこともおすすめです。
出典:マウザー・エレクトロニクス「NXP Semiconductors Kinetis L Series Arm Cortex-M0+ MCUs」
Kinetis® Lシリーズの製品ラインアップ
Kinetis® Lシリーズの製品ラインアップは下記です。
- Kinetis® KL0x ファミリ
- Kinetis® KL1x ファミリ
- Kinetis® KL2x ファミリ
- Kinetis® KL3x ファミリ
- Kinetis® KL4x ファミリ
- Kinetis® KL8x ファミリ
Kinetis® KL0x ファミリ
Kinetis® KL0x ファミリはベースラインMCUです。低電力モード48MHzで動作し、パフォーマンスと消費電力のバランスに優れています。Kinetis®ポートフォリオに移行する8ビットの顧客向けブリッジであり、他すべてのKinetis® Lシリーズ製品と互換性があります。
Kinetis® KL1x ファミリ
Kinetis® KL1x ファミリは汎用MCUです。Kinetis® KL0x ファミリを超える追加メモリ、通信、およびアナログ周辺機器オプションを提供します。
Kinetis® KL2x ファミリ
Kinetis® KL2x ファミリは、Kinetis® KL1x ファミリにはなかった、Full-Speed USB 2.0 On-the-Go (OTG) コントローラー、またはクリスタルレス USB 2.0 デバイスコントローラーが備わっています。
Kinetis® KL3x ファミリ
Kinetis® KL3x ファミリは、Kinetis® KL1x ファミリにセグメントLCDコントローラを追加しています。一般および産業用の計測アプリケーションに適しています。
Kinetis® KL4x ファミリ
Kinetis® KL4x ファミリは、Kinetis® KL2x ファミリにLCDコントローラを追加しています。また、RAMおよびフラッシュコンテンツへの不正アクセスを防止するセキュリティ回路を備えています。
Kinetis® KL8x ファミリ
Kinetis® KL8x ファミリはセキュリティ性が高いMCUです。改ざん検出、真性乱数発生器、AES、DES、3DES、SHA、RSA、ECCをサポートする暗号化エンジンを搭載しています。
Kinetis® Lシリーズの使い方(アプリケーション)
Kinetis® Lシリーズは、以下のアプリケーションに適しています。
- オートバイや小型エンジンの制御
- 住宅やビルのセキュリティおよび監視システム
- スマートカー
- 医療モニター
- ウェアラブル機器
Kinetis® Lシリーズの入手方法
Kinetis® Lシリーズは、NXP社の正規販売店や下記のオンラインショップなどで購入できます。
Kinetis® Lシリーズ 評価ボード
Kinetis® Lシリーズの評価ボードは、以下の通りです。
搭載CPU | 特長 | 対象 | データシート | |
---|---|---|---|---|
KL1xKinetisR KL1x and KL2x 48 MHz MCUs TowerR System Module | KL1x、KL2x | NXP社純正の評価ボード | NXP社純正の評価ボードを使用したい方
すぐに開発をスタートしたい方 |
KinetisR KL1x and KL2x 48 MHz MCUs TowerR System Module |
Kinetis® Lシリーズの対応OS
Kinetis® Lシリーズに対応している主なOSは、以下の通りです。
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。
μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。
- 小さいフットプリント
- マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
- μC3/Configurator付属
- 選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮やコーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートできます。
- 豊富なCPUサポート
- 業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実。使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
- 省電力対応
- デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。
詳しい資料をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
μC3のライセンスの種類・詳細
ライセンスの種類
ライセンスの種類は3つあります。
- 開発量産用プロジェクトライセンス
- プラットフォームライセンス
- 研究開発用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。
有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。
プラットフォームライセンス
プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。
研究開発用プロジェクトライセンス
研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。
ライセンス費用は、開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。
有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。
ポイント
- 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
- プラットフォームライセンス :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
- 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録いただく必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。
お客様のご要望にあわせて適切な範囲で設定させていただきますので、まずは、担当営業にご相談下さい。
ライセンスの詳細
-
- ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
- 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
- 提供形態 :ソースコード
- 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
- 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
- μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています
ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。
保守について
製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。
無償保守サービス終了後は有償での保守サービスとなります。そのまま継続でのご利用の場合、製品価格(研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の20%、非継続の後に再加入をされたい場合は研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の40%となります。
プロジェクトライセンスと1年間の保守サービスを同時にご購入いただいた場合は、初回に限り15%とさせていただきます。
保守サービスには以下が含まれています。
- 製品の無償バージョンアップ対応
- コンパイラのバージョンアップ対応
- メールによる技術サポートサービス(1営業日以内に1次回答)