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LPC5500シリーズとは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

LPC5500とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

LPC5500シリーズはNXPセミコンダクターズ(以下”NXP”社)のマイクロコントローラです。Arm®︎ Cortex®︎-M33を搭載し、最大150MHzの速度で動作します。リアルタイム性と高度なセキュリティ機能を兼ね備えており、旧世代と比較して大幅な性能強化がなされています。

LPC5500シリーズの仕様

LPC550x/S0x LPC551x/S1x LPC552x/S2x LPC55S6x LPC553x/S3x
最大動作周波数(MHz) 96 150 150 150 150
フラッシュメモリ(kB 64〜256 128〜256 256〜512 250〜640 128〜256
GPIO 30〜45 36〜64 36〜64 36〜64 32〜66
電源電圧(V) 1.8 to 3.6 1.8 to 3.6 1.8 to 3.6 1.8 to 3.6 1.8 to 3.6
特別な仕様 Dual-core
DSP Accelerator
16-bit ADC
OpAmp
DAC
Analog Comparator
DSP Accelerator

出典:LPC5500 Series

LPC5500シリーズとは

LPC5500

LPCシリーズとは

LPCシリーズは、NXP社が提供しているマイコンのシリーズです。それぞれの特長は以下です。

シリーズ CPU メモリ 特長 アプリケーション例
LPC800 Arm® Cortex® -M0+
Up to 30 MHz
16-64 kB Flash
1-16 kB RAM
エントリーレベル センサーゲートウェイ
LPC1100 Arm® Cortex®-M0/M0+
50 MHz
4-256 kB Flash
1-36 kB RAM
接続性 ゲーミング周辺機器
LPC51U68 Arm® Cortex®-M0+
100MHz
256 KB flash
Up to 96 KB total SRAM
高パフォーマンス、電力効率 高機能ゲーミングキーボード
LPC54000 Arm® Cortex®-M4
100 MHz、180 MHz、220 MHz
デュアルコアオプションあり
128-512 kB Flash
Up to 200 kB RAM
主流シリーズ スマートホーム、ビルオートメーション
LPC1200 Arm® Cortex®-M0
50 MHz
32-128 kB Flash
4-8 kB RAM
ノイズ耐性 白物家電
LPC1300 Arm® Cortex®-M3
72 MHz
8-64 kB Flash
4-12 kB RAM
エントリーレベルのアップグレード 一般消費周辺機器
LPC1500 Arm® Cortex®-M3
72 MHz
64-256 kB Flash
12-36 kB RAM
モーションコントロール モーター制御
LPC1700 Arm® Cortex®-M3
Up to 120 MHz
32-512 kB Flash
8-96 kB RAM
拡張性、主力シリーズ スマートエナジー
LPC1800 Arm® Cortex®-M3
180 MHz
Up to 1024 kB Flash
104-200 kB RAM
Flashなしオプションあり
高パフォーマンス、統合性 セキュアゲートウェイ
LPC4000 Arm® Cortex®-M4
120 MHz
64-512 kB Flash
24-96 kB RAM
拡張性、主力シリーズ 医療機器
LPC4300 Cortex-M4
204 MHz
マルチコアオプションあり
Up to 1024 kB Flash 104-282 kB RAM
Flashなしオプションあり
高パフォーマンス、統合性 高性能オーディオ

出典:NXP「NXP® LPC Microcontrollers Q」

LPC5500シリーズの特長

LPC5500 シリーズMCUは、Arm®︎の最新のCortex®︎-M33テクノロジを活用し、大幅な消費電力の改善と高度なセキュリティ機能を兼ね備えています。SRAM PUFベースのroot of trustとプロビジョニングを含む高度なセキュリティ機能、暗号化イメージからのリアルタイム実行、Arm® TrustZone®-Mによるアセット保護によるセキュリティが特長です。

さらにLPC5500 MCUシリーズは、幅広いパッケージとメモリ・オプションを備えた7つの拡張性のあるファミリー、包括的なMCUXpressoソフトウェアとツールのエコシステム、および低コストの開発基盤が備わっています。LPC5500シリーズは、NXPのEdgeVerse™エッジ・コンピューティング・プラットフォームの一部です。

出典:LPC5500 Series

原文は、以下の通りです。

The LPC5500 MCU series leverages Arm’s most recent Cortex-M33 technology, combining significant product architecture enhancements and greater integration over previous generations, with dramatic power consumption improvements and advanced security feature including SRAM PUF-based root of trust and provisioning, real-time execution from encrypted images (internal flash), and asset protection with Arm® TrustZone®-M. In addition, the LPC5500 MCU series features seven scalable families, with a broad package and memory options, as well as a comprehensive MCUXpresso Software and Tools ecosystem and low-cost development boards. The LPC5500 series of MCUs is part of NXP’s EdgeVerse™ edge computing platform.

LPC5500シリーズは、Cortex®︎-M33テクノロジによる高いセキュリティとパフォーマンス効率、拡張性の高さを兼ね備えたプロセッサです。特にセキュリティ面は特筆すべき技術を採用しています。また、5つのファミリーと幅広いパッケージでの展開により幅広い需要に応えられ、一般的な組込みだけでなく産業用IoT市場向けにも活用可能です。

特長1:アクセス可能なセキュリティ

SRAM PUFベースの信頼とプロビジョニングのルート、暗号化されたイメージからのリアルタイム実行、およびArm® TrustZone®-Mによる資産保護を備えています。

SRAM PUF技術とは?

SRAMはメモリを、PUF(Physically Unclonable Function)は複製不可能を意味します。

SRAM PUF技術により、認証などで生成される暗号キーやIDが、複製・読み取りが困難となるのです。

従来の暗号化に変わるライトな認証で、セキュリティ中心のチップに統合されています。

特長2:パフォーマンス効率の向上

内臓パワーマネージメントIC(DC-DC)と信号処理および暗号加速用の専用コプロセッサを搭載しています。

特長3:包括的なラインアップと拡張性

LPC5500シリーズは40nmのコスト優位性に加え、拡張性の高い幅広いパッケージとメモリオプションで展開されています。また、MCUXpressoのソフトウェアおよびツールのエコシステムや開発ボードにより低コストの恩恵も受けられます。

特長4:省電力

前述した機能を有しているにもかかわらず、省電力である点も大きな特長です。電圧源はいずれのラインアップでも1.8〜3.6Vとなっています。

出典:LPC5500 Series

LPC5500シリーズの製品ラインアップ

LPC5500シリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • LPC550x/S0x:ベースライン
  • LPC551x/S1x:USBおよびCAN-FDによる合理化
  • LPC552x/S2x:USB搭載のメインストリーム
  • LPC55S6x:高い効率性
  • LPC553x/S3x:アドバンスド・アナログ

出典:LPC5500 Series

LPC550x/S0x

LPC550x/S0xは、LPC5500シリーズの中でベースラインのファミリーです。低コスト・オプションと小型フットプリントを備え、高度なセキュリティと安全性を統合し、アプリケーションの保護レベルを向上させます。

ピン、ソフトウェア、ペリフェラルの互換性に加え、ソフトウェアとツールの包括的なポートフォリオなど、開発者にとって優れたエコシステムの利点を提供し、市場投入までの時間を短縮します。特に主要家電製品やセキュリティなどに適しています。

LPC551x/S1x

LPC551x/S1xは、USBおよびCAN-FDによる合理化されたファミリーです。EdgeVerse™エッジ・コンピューティング・プラットフォームの一部であり、世界初の汎用Cortex®︎-M33ベースMCUシリーズを拡張します。コスト効率の高い40nm NVMプロセス技術を活用し、ピン・ソフトウェア・ペリフェラルの互換性により、使いやすさと市場投入期間の短縮を実現するなど、開発者にとって大きなメリットがあります。

なかでも高度なセキュリティを念頭に構築されているLPC55S16 MCUは、Certified EdgeLock® Assuranceプログラムの一部であり、Arm®︎が共同開発したPSA Certified™スキームとGlobalPlatform Security Evaluation Standard for IoT Platforms(SESIP)の両方からレベル2の認定を受けています。

LPC552x/S2x

LPC552x/S2xは、USB搭載モデルとしてはLPC5500シリーズの中で主流のプロセッサです。

Cortex®︎-M33コアの高性能効率だけでなく、複数の高速インタフェース・統合電源管理IC・豊富なアナログ統合を兼ね備えています。スマート家電・産業用HMI・ウェアラブル製品にも適しています。

LPC55S6x

LPC55S6xは高い効率性を誇るファミリーです。新しいArmv8-Mアーキテクチャを活用した高性能をもち、TrustZone-Mやコプロセッサ拡張を含む高度なセキュリティ機能を導入しています。さらに、クロックサイクルを10倍短縮する独自のDSPアクセラレータにより、信号処理効率の大幅な向上を実現しています。

また、オプションの2番目のCortex®︎-M33コアが、高性能と電力効率のバランスを柔軟に実現しているのも特長です。家電製品はもちろん、通信インフラ・産業用IoT・POSターミナルにも適しています。

LPC553x/S3x

LPC553x/S3xは、パリティまたはECCを搭載したオンチップRAMに高精度アナログを追加しているファミリーです。

パフォーマンスの大幅な向上はもちろん、セキュリティ機能も改良されています。費用対効果に優れた40nm NVMプロセス技術が活用されている点も特長的です。産業用HMI・自動車識別・ロボット家電などに適しています。

LPC5500シリーズのペリフェラル(周辺機器)

LPC5500シリーズは、豊富なペリフェラル(周辺機器)を搭載しています。LPC5500シリーズのペリフェラルは、以下の通りです。

  • USB2.0(Full-speed/Hi-speedデバイス、ホスト/デバイス) ※LPC550x/S0x以外 
  • I2Cインターフェース
  • AES-256暗号化/復号化エンジン
  • SCT
  • DMA0コントローラ
  • DMA1コントローラ
  • 専用DMAコントローラを備えたCAN FDモジュール
  • CRCエンジンブロック
  • 最大45〜66個のGPIOピン
  • AOIを組み合わせた2つのロジック・モジュールと専用の入出力信号セット ※LPC553x/S3xのみ
  • 最大16個の機能オプションをサポートするI/Oピン
  • ADCに接続された統合温度センサー
  • 5つの入力ピンと外部・内部基準電圧を備えたコンパレータ
  • プログラム可能なVREFを備えた3つのオペアンプ ※LPC553x/S3xのみ

など

    LPC5500シリーズの使い方(アプリケーション)

    LPC5500シリーズは、高性能かつ低消費電力なプロセッサです。拡張性も高く、さまざまなアプリケーションに適しています。

    • 家電全般
    • ロボット家電
    • ビル・セキュリティ
    • ウェアラブル製品
    • 産業用HMI
    • スマートシティ

      LPC5500シリーズの入手方法

      LPC5500シリーズのプロセッサは、NXP社や、NXP社の正規販売店で購入できます。

      LPC5500シリーズの開発環境

      LPC5500シリーズに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

      • LPCXpresso IDE
      • Arm®︎ Keil MDK
      • IAR Embedded Workbench for ARM®︎
      • Segger Embedded Studio

        LPC5500シリーズ評価ボード

        LPC5500シリーズの評価ボードは、以下の通りです。

        • LPCXpresso 55S36
        • LPC55S06-EVK
          搭載マイコン 特長 データシート
          LPCXpresso 55S36 LPC553x/S3x 高速USBデバッグ・プローブを搭載 LPCXpresso 55S36のデータシート
          LPC55S06-EVK LPC55S06 デバッグ・プローブ、加速度計などを搭載 LPC55S06-EVKのデータシート

          LPCXpresso 55S36

          LPCXpresso 55S36はNXP社純正の低コストな評価ボードです。LPCXpresso 55S36は簡単なファームウェアアップデートオプションを備えた高速USBデバッグプローブを搭載しています。

          LPC55S06-EVK

          LPC55S06-EVKはNXP社純正の評価ボードです。LPC55S06-EVKはLPC55S6x MCUを評価します。デバッグ・プローブ、オーディオ・サブシステム、加速度計が搭載されています。

          LPC5500シリーズの対応OS

          LPC5500シリーズに対応しているOSは、以下の通りです。

          • FreeRTOS
          • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)

          弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

          高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

          μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組み込みシステム向けのRTOSです。

          μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

          Arm® Cortex®-Aシリーズ、Arm® Cortex®-Rシリーズだけでなく、高性能な Arm® Cortex®-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

          32/64bitの高性能プロセッサに最適化
          割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
          豊富なプロセッサ・サポート
          業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサ
          ポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
          マルチコア対応
          組み込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
          豊富なデバイスドライバを用意
          I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

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          μC3のライセンスの種類・詳細

          ライセンスの種類

          ライセンスの種類は3つあります。

          • 開発量産用プロジェクトライセンス
          • プラットフォームライセンス
          • 研究開発用プロジェクトライセンス

          開発量産用プロジェクトライセンス

          開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

          有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

          プラットフォームライセンス

          プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

          研究開発用プロジェクトライセンス

          研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

          ライセンス費用は、開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

          有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

          ポイント
          • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
          • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
          • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス

          ※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録いただく必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

          お客様のご要望にあわせて適切な範囲で設定させていただきますので、まずは、担当営業にご相談下さい。

          ライセンスの詳細

            • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
            • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
            • 提供形態 :ソースコード
            • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
            • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
            • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

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            保守について

            製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。

            無償保守サービス終了後は有償での保守サービスとなります。そのまま継続でのご利用の場合、製品価格(研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の20%、非継続の後に再加入をされたい場合は研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の40%となります。

            プロジェクトライセンスと1年間の保守サービスを同時にご購入いただいた場合は、初回に限り15%とさせていただきます。

            保守サービスには以下が含まれています。

            • 製品の無償バージョンアップ対応
            • コンパイラのバージョンアップ対応
            • メールによる技術サポートサービス(1営業日以内に1次回答)

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            弊社製品リアルタイムOS(RTOS)やTCP/IPのプロトコルスタックをはじめとしたミドルウェアなどのプロダクトガイドです。詳しい資料をご希望の方は、下記よりダウンロードしてください。

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