カメラモジュール

近年、スマートフォンに搭載されるカメラ機能が進化し、より多くの人が気軽に高画質の撮影を楽しめるようになりました。

スマートフォンやPCなどのデバイスに搭載されるカメラはカメラモジュールと呼ばれ、システムにより動きます。

この記事では、カメラモジュールの市場予測や用途、実装について紹介します。

カメラモジュールとは

カメラモジュールは、スマートフォンなどの機器に搭載されるカメラの部品のことです。レンズ、IRカットフィルター、イメージセンサー、制御電子回路などで構成されます。

出典:エンジニア大学「モノづくりエンジニアの為のカメラモジュールの構造」

カメラモジュール市場

2020年は世界的にCOVID-19の影響を受け、旅行者の減少や、カメラモジュールの生産中断・遅延が起こりました。このパンデミックにより、小型カメラモジュールを使用するヘルスケア分野の機器、コロナウイルスで発熱している人を検出するサーマルカメラなどの需要を生み出しました。

今後の市場予測では、デジタル技術の進化、安全やセキュリティへの関心、機器への需要増などを要因として健全な成長が見込まれており、2022年3月にREPORTOCEANが発行したレポートによると、カメラモジュール市場は2022年~2030年の予測期間でCAGRが10.8%以上伸び、2030年の世界市場規模は869億8000万米ドルに達すると予測されています。

CMOSカメラモジュールの需要が急速に増加していることもポイントです。CMOSセンサーは、低消費電力、低コスト、製造がしやすいなどの特長があり、1つの半導体に機能を集約するSoC(System on a chip)として、これまで普及してきたCCDセンサーにはない利点を備えています。小型化やCMOS設計技術の進歩により、優れた性能のカメラが実現し、市場の成長を後押ししていると言えるでしょう。

参考:株式会社矢野経済研究所「コロナ禍で厳しさを増すデジタルカメラに思うこと。」
出典:Mordor Intelligence Pvt Ltd「小型カメラモジュール市場- 成長、動向、COVID-19の影響、予測(2022年~2027年)」
出典:Report Ocean「カメラモジュール市場は2030年まで年平均成長率10.8%で成長する見込み」
TDK 株式会社「第82回 CCDとCMOSの違いとは? ー撮像素子の特長ー」

カメラモジュールが使われている場面

カメラモジュールは、一般消費向け、自動車、ヘルスケア、産業用、セキュリティ・監視、航空宇宙・防衛など、幅広い場面で使用されています。

例えば、身近にあるスマートフォンやPCのカメラ、外出先で利用するATMや自動販売機の顔認証用カメラ、産業用の検査機器や車載用カメラなどです。

カメラモジュールの用途例(車載用カメラモジュール)

車載カメラ

2023年1月現在、自動車業界において、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)による運転支援や自動運転機能実装が進められています。

ドライバーに注意を促したり、代わりに自動車を制御する機能のため、車1台あたりに搭載されるカメラモジュールも増加しています。車載用カメラモジュールには、下記を一例としてさまざまなものがあります。

車載用カメラモジュールの用途例
  • FCW(Forward Collision Warning:前方衝突警告)
  • NV/PD(Night Vision/Pedestrian Detection:ナイトビジョン/歩行者検知)
  • TSR(Traffic Sign Recognition:交通標識認識)
  • LDW(Lane Departure Warning:車線逸脱警報)
  • BSM(Blind Spot Monitoring:死角モニタリング)
  • DM(Driver Monitoring:ドライバーモニタリング)
  • APA(Advanced Parking Assist:高度駐車アシスト)

参考:株式会社ZMP「ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems, 先進運転支援システム)の開発に関する基本情報」

カメラモジュールの実装

上述した用途例の車載用カメラモジュールのように、組込みシステム開発においてカメラモジュールへの需要が高まっています。

カメラ画像を使ってAIによる物体認識をおこなう場合、従来はネットワークを経由してサーバー側で処理をしていたため、通信コストとリアルタイム性が課題となっていました。このようなカメラモジュール実装時の課題に対しては、エッジAIの利用がおすすめです。

エッジAIとは、デバイス自体やその近くのサーバーでデータ処理をおこなう「エッジコンピューティング」に搭載されるAIです。

参考:株式会社アイスマイリー「ラズパイとカメラを活用した画像認識AIでできること」
参考:Idein株式会社「今さら聞けない ~「エッジAI」とは?~」

エッジAIの検討

みなさんはメモリリソースが少ないマイコンでもAIの実装が可能なことはご存知でしょうか。弊社イー・フォース株式会社では、費用を抑えて入手できる小型のカメラとRTOSを利用したAIの実装方法を紹介しています。

手頃な価格のマイコンを使ったエッジAIを検討されたい方は、ぜひ「組み込み用小型カメラを使いこなす Vol.1 ~カメラの画像をディスプレイに表示~」をご覧ください。

必要なものの表

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