EFR32FG1とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介
EFR32FG1は、Silicon Labs(以下SLAB)のマイクロコントローラーです。EFR32FG1は、Arm® Cortex®-M4を搭載し、動作周波数は最大40MHz・最大256kBのフラッシュメモリと32kBのRAMを内蔵しています。電池駆動アプリケーションでの使用に適しています。

EFR32FG1の仕様

CPU Arm® Cortex®-M4 CPU
動作周波数 最大40MHz
フラッシュメモリ 最大256kB
RAM 32kB
bit 32

出典:EFR32FG1 Flex Gecko 独自規格プロトコル SoC ファミリ・データ・シート

EFR32FG1について

ここからは、EFR32FG1についてさらに詳しく説明します。

EFR32 Wireless Geckoとは

Wireless Geckoは、CPUの停止時にペリフェラルを自律的に動作できるPRS(Peripheral Reflex System)が搭載されているのが特長です。加えて、DSP機能を備え低消費電力を実現しています。

また、 SLABが提供する統合開発環境のSimplicity Studioを利用すればRF部分の開発が容易にできるのもポイントです。

さらに、「Energy Profiler」と呼ばれるツールで電力効率をリアルタイムで把握できバッテリー寿命の最適化、「Network Analyzer」でネットワークのパケットの様子を監視できます。

EFR32FG1は、同社の独自規格ワイヤレス SoCで、Wireless Geckoに含まれています。

RF(読み方:あーるえふ)とは

RFとは、無線周波数のことで、無線通信の搬送波として利用できる周波数である。RFは「ラジオ周波数」を意味し「Radio Frequency」の略。

EFR32 Wireless Geckoのラインアップ

EFR32 Wireless Geckoのラインアップは以下になります。

  • EFR32 Blue Gecko:IoT デバイスに Bluetooth Low Energy(BLE)接続
  • EFR32 Flex Gecko:サブGHzと2.4GHzの独自のワイヤレス・プロトコルおよび独自変調スキームをサポート
  • EFR32 Mighty Gecko:Zigbee、Thread、マルチプロトコル・ネットワークを有効にするように設計

出典:AN0002.1: EFM32 および EFR32 Wireless Gecko シリーズ 1 ハードウェア設計に関する考慮事項

EFR32FG1は、サブGHzと2.4GHzの独自のワイヤレス・プロトコルおよび独自変調スキームをサポートする「EFR32 Flex Gecko」に属します。

EFR32 Mighty Geckoについては、下記の記事でさらに詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

EFR32MG1とは?仕様・機能・評価ボード・開発環境・対応OSを紹介

EFR32 Flex Geckoとは

EFR32FG1 シリーズ 1 ワイヤレス SoC は、安全で、接続されているワイヤレスデバイス向けの独自規格ワイヤレス・アプリケーションを対象としたワイヤレス SoC です。

出典:EFR32FG1V131F32GM32

EFR32 Flex Geckoは、SLABの独自規格プロトコルSoCです。

Flex Geckoは 、ホーム・オートメーション、ビル・オートメーション、セキュリティ、メータリング、工業オートメーションなどのアプリケーションに適しており、IoT デバイス向けの省エネ独自規格プロトコル・ネットワークの実現に最適です。

SoC(読み方:エスオーシー、ソック)とは

SoCとは、プロセッサの種類の一つで、システムに必要なあらゆる機能を1つのチップ上に搭載したもの。SoCは、「システムを一つのチップ上に載せる」を意味する「System on a Chip」の略。システム全体をチップ上に搭載することで、小型化が可能になるというメリットがある。また、システムの内部接続により消費電力も抑えられる。

Socについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事も合わせてご覧ください。

半導体のSoC(システムオンチップ)、システムLSIとは?定義・意味・特徴をわかりやすく解説

EFR32 Flex Geckoのラインアップ

  • EFR32FG1:最大256kBのフラッシュメモリと32kBのRAMを内蔵
  • EFR32FG12:最大1024kBのフラッシュメモリと256kBのRAMを内蔵
  • EFR32FG13:最大512kBのフラッシュメモリと64kBのRAMを内蔵
  • EFR32FG14:最大256kBのフラッシュメモリと32kBのRAMを内蔵

この記事では、EFR32FG1について紹介します。

EFR32FG1とは

EFR32FG1 ワイヤレス・ソリューションは、エネルギー効率の良いマイクロコントローラ(MCU)を、 OOK、成形 FSK、DSSS 搭載型成形 OQPSK、FEC あり/無しなどの、サブ GHz および 2.4 GHz の独自のワイヤレス・プロトコルおよび独自変調スキームをサポートします。EFR32FG1 SoCs は、業界トップクラスのエネルギー効率、超高速ウェイクアップ時間、スケーラブルな電力アンプ、統合型 2.4 GHz バランおよび包括的な MCU 機能を提供します。このデバイスは、どのような電池駆動アプリケーションにも、高性能で低電力消費が必要なその他のシステムにも適しています。

出典:EFR32FG1 独自規格ワイヤレス SoC

EFR32FG1は、Arm® Cortex®-M4を搭載し、動作周波数は最大40MHz・最大256kBのフラッシュメモリと32kBのRAMを内蔵しています。低消費電力なアプリケーションに考慮された設計で、電池駆動アプリケーションでの使用に適しています。

ここからは、EFR32FG1の特長を確認していきましょう。

【特長1】高性能で低消費電力な設計に役立つ

EFR32FG1は、近年開発が進んでいる低消費電力アプリケーションを考慮した設計です。ARM® Cortex®-M コアをベースに設計された、EFM32 32 ビット・マイクロコントローラ(MCU)EFR32 ワイヤレス SoCを使用して消費電力を抑えた開発を実現します。

16kB RAM 保持とリアルタイム・クロック動作を使った、0.9 μA ディープ・スリープ・モードをはじめとする、複数のエネルギーモードを活用して電力消費を調節も可能です。実世界のイベントに素早く対応する超高速起動時間と、アナログ測定の実行、CPUをバイパスするペリフェラル間接続、RF信号の検出が可能であるディープ・スリープ・モード機能を備えています。

【特長2】豊富な機能搭載で高度統合型

EFM32 32 ビットMCUとEFR32 ワイヤレス SoC とモジュールは高度に統合されており、設計が容易にできます。ADC、DAC、タイマー、静電容量式タッチ、I²C、USB、イーサーネットにまたがる通信オプションなど、統合型周辺機器の豊富なセレクションが用意されています。

また、オンボード・ラジオにより、設計や部品表がシンプルなのも特長です。

【特長3】優れたセキュリティ

端末ノードからクラウドまでシステムを保護し、無線によるアップデートが可能です。セキュアブートローダや、AES, ECC, SHA用の高効率の暗号アクセラレータなどのハードウェアセキュリティ技術を利用できます。

また、ペリフェラルへのアクセス管理を、ソフトウェアベースで行うためのセキュリティ管理ユニットが使用できます。

【特長4】 柔軟な設計

アプリケーション設定、エネルギーのプロファイリング、高度なデバッグ、ネットワーク分析ツールで設計の最適化を実現。

ペリフェラルと無線のグラフィカルコンフィグレーションツールを使用してコードを自動生成し、素早く実行できます。関数呼び出しとコードのエネルギー・プロファイリングにより、アプリケーションの消費電力を最適化できます。

また、特許取得済みのネットワーク解析ツールを活用して、ネットワーク上のノード間の通信を完全に可視化可能です。

さらに、ニーズに合わせてメモリ、周辺装置、接続性を調節するピン互換性のあるオプションにより、設計の柔軟性が考慮されています。

EFR32FG1の主なアプリケーション例

EFR32FG1は、以下のアプリケーションに適しています。

  • 電池駆動アプリケーション
  • 高性能で低電力消費が必要なシステム
  • エネルギー重視のアプリケーション
  • IoTデバイス

EFR32FG1の入手方法

EFR32FG1は、SLABの正規販売店や下記のオンラインショップなどで購入できます。

EFR32FG1の開発環境

EFR32FG1に対応した代表的な開発環境は、下記の通りです。

  • IAR Embedded Workbench for Arm
  • Simplicity Studio – SLAB

EFR32FG1評価ボード

2023年11月現在、EFR32FG1の評価ボードは以下の通りです。

サポートCPU 特長 データシート
SLWSTK6065B EFR32 Flex Gecko

EFR32FG 169MHz 2.4GHzおよびサブGHzスタータキット

BRD4258B EFR32FG14 2400/169MHz 19dBmの無線基板、SMAコネクタ付き169MHzアンテナを同梱

SLWSTK6065Bのデータシート
SLWSTK6063B EFR32 Flex Gecko

EFR32FG 434MHz 2.4GHzおよびサブGHzスタータキット

BRD4259A EFR32FG14 2400/434MHz 19dBmの無線基板、SMAコネクタ付き434MHzアンテナを同梱

SLWSTK6063Bのデータシート
SLWSTK6062B EFR32 Flex Gecko

EFR32FG 490MHz 2.4 GHzおよびサブGHzスタータキット

BRD4258A EFR32FG14 2400/490MHz 19dBmの無線基板、SMAコネクタ付き490MHzアンテナを同梱

SLWSTK6062Bのデータシート
SLWSTK6061B EFR32 Flex Gecko

EFR32FG 868MHz 2.4 GHzおよびサブGHz スタータキット

BRD4257B EFR32FG14 2400/868MHz 19dBmの無線基板、SMAコネクタ付き868MHzアンテナを同梱

SLWSTK6061Bのデータシート
SLWSTK6060B EFR32 Flex Gecko

EFR32FG 915 MHz 2.4GHzおよびサブGHzスタータキット

BRD4257A EFR32FG14 2400/915MHz 19dBmの無線基板、SMAコネクタ付き915MHzアンテナを同梱

SLWSTK6060Bのデータシート

搭載されている無線基盤が違う5種類のSLAB純正評価ボードが販売されています。サブGHおよび2.4GHzの周波数帯域に対応しているのが特長です。

これらの評価ボードは、範囲テストを含む、ラボ評価、ソフトウェア開発、サンプル・アプリケーションの自動検出が可能です。

また、周波数ごとの無線基盤とアンテナSMAコネクタ付きアンテナ、メインボードの他に、単三電池ホルダやUSB A – USBミニB変換ケーブル、BRD8010A WSTK デバッグ・アダプタ、EFR32 Flex Gecko スタート・ガイド・カードがセットに含まれています。すぐに開発を始めたい人に適した評価ボードです。

EFR32FG1の対応OS

EFR32FG1に対応している主なOSは、下記の通りです。

  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)
  • Micrium OS(SLAB)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。

μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。

小さいフットプリント
マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
μC3/Configurator付属
選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮やコーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートできます。
豊富なCPUサポート
業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実。使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
省電力対応
デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。

詳しい資料をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。

資料ダウンロード(無料)

μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス
  • 研究開発用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

ライセンス費用は、開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

ポイント
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録いただく必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望にあわせて適切な範囲で設定させていただきますので、まずは、担当営業にご相談下さい。

ライセンスの詳細

    • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
    • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
    • 提供形態 :ソースコード
    • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
    • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
    • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

    ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

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    保守について

    製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。

    無償保守サービス終了後は有償での保守サービスとなります。そのまま継続でのご利用の場合、製品価格(研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の20%、非継続の後に再加入をされたい場合は研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の40%となります。

    プロジェクトライセンスと1年間の保守サービスを同時にご購入いただいた場合は、初回に限り15%とさせていただきます。

    保守サービスには以下が含まれています。

    • 製品の無償バージョンアップ対応
    • コンパイラのバージョンアップ対応
    • メールによる技術サポートサービス(1営業日以内に1次回答)