i.MX 6Dualとは?仕様・機能・開発環境・対応OSを紹介

i.MX 6Dualは、NXPセミコンダクターズ(以下NXP社)のプロセッサです。2つのCortex®-A9を搭載しています。i.MX 6Dualは、電力効率のよい処理機能と高い拡張性が特徴で、特にマルチメディアアプリケーションに適したプロセッサです。

i.MX 6Dualの仕様

MCIMX6D4 MCIMX6D5 MCIMX6D6 MCIMX6D7
Core Type Arm® Cortex®-A9 Arm® Cortex®-A9 Arm® Cortex®-A9 Arm® Cortex®-A9
Operating Frequency [Max] (MHz) 1000 1000 1000 800
L2 Cache (Max) (KB) 1024 1024 10241024
SRAM (kB) 256 256 256 256
External Memory Supported[Max] DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2 DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2 DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2 DDR3 SDRAM, DDR3L SDRAM, ECC, LPDDR2 DRAM, NAND FLASH, NOR FLASH, ONFI2.2
Video/Display features[Max] HDMI 1.4, LVDS, MIPI-CSI-2, MIPI-DSI, PCP HDMI 1.4, LVDS, MIPI-CSI-2, MIPI-DSI, PCP HDMI 1.4, LVDS, MIPI-CSI-2, MIPI-DSI, PCP HDMI 1.4, LVDS, MIPI-CSI-2, MIPI-DSI, PCP
USB Controllers N N N N
Audio Specific Modules AA, ESAI AA, ESAI AA, ESAI AA, ESAI
PCIe 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0 1 x PCIe 2.0
Package Type FBGA624 LFBGA624、LFBGA569S FBGA624 FBGA624、LFBGA569S
Package
Termination Count[MAX]
624 624 624 624
Package Pitch (mm)[MAX] 0.8 0.8 0.8 0.8
Junction Temperature (Min) (℃) -40 -20 -40 -40
Junction Temperature (Max) (℃) 125 105 125 150

i.MX 6Dualとは

半導体イメージ

i.MXシリーズとは

i.MXシリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの特徴は、Arm®コアを搭載し、低消費電力であることです。

i.MXシリーズのラインアップ

i.MXシリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX RTシリーズ:産業用IoTアプリケーション向け
  • i.MX 6シリーズ :自動車、産業用アプリケーション向け
  • i.MX 7シリーズ :ポータブルIoTアプリケーション向け
  • i.MX 8シリーズ :グラフィックス、オーディオ、安全性が重要なアプリケーション向け
  • i.MX28     :自動車、産業用アプリケーションの電源管理および接続機能向け

i.MX 6Dualは、自動車、産業用アプリケーション向けの「i.MX 6シリーズ 」に属します。

i.MX 6シリーズとは

i.MX 6シリーズとは、NXP社が提供しているプロセッサファミリです。i.MXシリーズの中でも、Arm® Cortex®-A9を搭載し、自動車、産業用アプリケーション向けに特化しています。

i.MX 6シリーズは、デュアルコアアーキテクチャです。このため、高度なリアルタイム性能を実現しています。

デュアルコアとは

コアを複数搭載したマルチコアのうち、コアを2つ搭載したものをデュアルコア、コアを4つ搭載したものをクアッドコアと言う。

i.MX 6シリーズのラインアップ

i.MX 6シリーズのラインアップは、以下の通りです。

  • i.MX 6ULZ:超低コスト
  • i.MX 6ULL:コスト最適化
  • i.MX 6UltraLite:効率的で安全
  • i.MX 6SLL:効率的なマルチメディア
  • i.MX 6SoloLite:マルチメディア/電子リーダー
  • i.MX 6SoloX:安全な処理
  • i.MX 6Solo:マルチメディア
  • i.MX 6DualLite:3Dグラフィック
  • i.MX 6Dual:高度な3Dグラフィック
  • i.MX 6DualPlus:エクストリーム3Dグラフィックス
  • i.MX 6Quad:ハイパフォーマンス
  • i.MX 6QuadPlus:究極のパフォーマンス

この記事では、高度な3Dグラフィックを実現する「i.MX 6Dual」を紹介します。

i.MX 6Dualとは

i.MX 6Dualは、Cortex®-A9を搭載したデュアルコアプロセッサで、最大1.2GHzの速度で動作します。特徴は以下の通りです。

  • 運用システムやゲームに必要なMIPSを満たす、高層ポータブルアプリケーション機能
  • マルチレベルのメモリシステム
  • 業界水準より格段に電力を抑え、機能豊富な製品を実現する高速テクノロジー
  • 動的に電圧と周波数を制御(DVFS)
  • 強力なグラフィックアクセラレーション
  • 柔軟性の高いインターフェース
  • デバイス全体で統一された電力管理
  • 高度なハードウェア対応セキュリティ

出典:i.MX 6Dual Processor

i.MX 6Dualの高度な電源管理機能

i.MX 6Dualは、PMUを統合しています。

PMU(読み方:ピーエムユー)とは

PMUとは、電源監視ユニットを意味する「Power Management Unit」。PMUは、電源接続やバッテリー充電の監視を行う。

これにより、高度な電源管理を実現しています。

i.MX 6Dualのセキュリティサポート

i.MX 6Dualは、以下のセキュリティサポートがあります。

  • 高信頼ブーティング
  • 暗号エンジン
  • 乱数ジェネレーター
  • 改ざん検出

出典:i.MX 6Dual/6Quad Applications Processor Data Sheet for Consumer Products

これにより、高度なセキュリティを実現しています。

暗号化とは

暗号化とは、データを第三者が解読できないように一定のルールのもとに変換すること。暗号化によって、権限の無い照会や使用からデータを保護する。

暗号化については、以下の記事をご覧ください。

暗号化・復号とは?仕組み・種類・定義をわかりやすく解説

ポイント
  • PMU(電源監視ユニット)を搭載しているため、高度な電源管理機能を実現
  • 暗号エンジンや乱数ジェネレーターなどのセキュリティサポートを搭載し、高度なセキュリティを実現

i.MX 6Dualの入手方法

i.MX 6Dualは、NXP社の正規販売店や下記のオンラインショップなどで購入できます。

i.MX 6Dualの開発環境

i.MX 6Dualに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。

  • IAR Embedded Workbench® for Arm®
  • ARM® Development Studio 5

i.MX 6Dualの評価ボード

i.MX 6Dualの評価ボードは、以下の通りです。

搭載マイコン 特徴 対象 データシート
SABRE for Automotive Infotainment Based on the i.MX 6 Series i.MX6DL、i.MX 6Quad 、i.MX6QP 自動車用システムの周辺機器(ペリフェラル)をサポート i.MX 6Quadで自動車用アプリケーションを開発したい方 SABRE for Automotive Infotainment Based on the i.MX 6 Seriesのデータシート

SABRE for Automotive Infotainment Based on the i.MX 6 Series

SABRE for Automotive Infotainment Based on the i.MX 6 Seriesは、自動車用アプリケーションの開発が可能なボードです。SABREは、「Smart Application Blueprint for Rapid Engineering」の略です。

カメラ、ディスプレイ、地上波および衛星ラジオチューナー、Wi-Fi、Bluetooth、GPSモジュールなどの自動車用システムの周辺機器(ペリフェラル)をサポートしています。

これらの特長からSABRE for Automotive Infotainment Based on the i.MX 6 Seriesは、「i.MX 6Quadで自動車用アプリケーションを開発したい」という方に最適の評価ボードです。

SABRE for Automotive Infotainment Based on the i.MX 6 Seriesの価格や購入場所

i.MX 6Dualの対応OS

i.MX 6Dualに対応している主なOSは、以下の通りです。

  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard(弊社製品)
  • μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux(弊社製品)

弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介

半導体イメージ

高性能リアルタイム処理向けRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standard」

μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Standardは、μITRON4.0のスタンダードプロファイルをベースに、32/64ビットプロセッサが搭載された組込みシステム向けのRTOSです。

μC3/Standardは、高性能プロセッサがより高度なリアルタイム制御に耐えられるよう、割込み禁止時間を極力なくし、割込み応答性を最重要課題として設計したRTOSです。

Arm® Cortex®-Aシリーズ、Arm® Cortex®シリーズだけでなく、高性能な Arm® Cortex®-MやRenesas RXシリーズにも対応しています。

32/64bitの高性能プロセッサに最適化
割り込み応答性を高め、32/64bitの高性能プロセッサ向けに最適化されたμITRON4.0仕様のカーネル。
豊富なプロセッサ・サポート
業界随一のプロセッササポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサ
ポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
マルチコア対応
組込み機器向けに最適なAMP型カーネル。マルチコアによって、リアルタイム性能を強化します。
豊富なデバイスドライバを用意
I2C, SPI, GPIO, SDなどのデバイスドライバをオプションで用意。(UART, Timer, INTCはμC3に、EthernetドライバはμNet3に付属しています。)

詳しい資料をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
資料ダウンロード(無料)

LinuxとRTOSの共存ソリューション「μC3(マイクロ・シー・キューブ)+Linux」

μC3+LinuxはマルチコアCPUにLinuxとRTOSを共存させ、OS間の通信を可能にするソリューションです。

種類の異なった2つのOSを共存させることで、RTOSのリアルタイム性能とLinuxが持つ豊富なソフトウェア資産を有効に活用することができます。

異なったタイプのマルチコアCPUに対応
ホモジニアス(同一プロセッサ・コアによる構成)ヘテロジニアス(異なるプロセッサ・コアによる構成)の両方に対応しています。
メーカー提供のLinuxディストリビューションに対応
CPUベンダーが標準でサポートするLinuxに対応し、アプリケーションの開発が迅速にできます。
OS間通信をサポート
メッセージ形式のAPI(RPMsg)を使って、OS間の通信を容易に実現できます。
OpenAMP仕様を採用
Multicore Associationによって標準化されたOpenAMPの仕様に対応しています。
RTOSによる高速ブート
μC3を先に起動することで高速起動ができます。

詳しい資料をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
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μC3のライセンスの種類・詳細

ライセンスの種類

ライセンスの種類は3つあります。

  • 開発量産用プロジェクトライセンス
  • プラットフォームライセンス
  • 研究開発用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンス

開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。

有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。

プラットフォームライセンス

プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。

研究開発用プロジェクトライセンス

研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。

ライセンス費用は、開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。

有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。

ポイント
  • 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
  • プラットフォームライセンス   :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
  • 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス

※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録いただく必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。

お客様のご要望にあわせて適切な範囲で設定させていただきますので、まずは、担当営業にご相談下さい。

ライセンスの詳細

    • ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
    • 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
    • 提供形態 :ソースコード
    • 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
  • 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
  • μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています

ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。

資料ダウンロード(無料)

保守について

製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。

無償保守サービス終了後は有償での保守サービスとなります。そのまま継続でのご利用の場合、製品価格(研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の20%、非継続の後に再加入をされたい場合は研究開発用プロジェクトライセンスはプロジェクトライセンス価格)の40%となります。

プロジェクトライセンスと1年間の保守サービスを同時にご購入いただいた場合は、初回に限り15%とさせていただきます。

保守サービスには以下が含まれています。

  • 製品の無償バージョンアップ対応
  • コンパイラのバージョンアップ対応
  • メールによる技術サポートサービス(1営業日以内に1次回答)

i.MX 6DualとμC3/Standardの導入事例

  • 医療機器メーカー様 生体情報モニタ