「マルチコア」とは、1つのプロセッサの中に複数のCPUコアを内蔵する技術をいいます。マルチコアのプロセッサは、複数の処理を並列しておこなうため、シングルコアに比べ高い処理能力を持ちます。マルチコアによって高機能化されたプロセッサを「マルチコアプロセッサ」と呼びます。
マルチコアとは
マルチコアとは、1つのプロセッサの中に複数のCPUコアを内蔵する技術のことです。
コアとは
コアとは、プロセッサの部品であり、実際に処理を行う部分のこと。人間に例えると頭脳のようなもの。
コアが多いほど、複数の処理を並列してできるため、CPUの処理性能も上がります。
また、マルチコに対してコアが一つのみ搭載されているものを「シングルコア」と言います。
シングルコアとは
「シングルコア」とは、1つのプロセッサの中にコアが1つ内蔵する技術のこと。コアが複数ある「マルチコア」のプロセッサが実用化された後で、マルチコアとの対比で使われるようになった
シングルコアについては、以下のページをご覧ください。
組込みにおけるシングルコア、シングルコアプロセッサとは?意味・定義・特徴をわかりやすく解説
ポイント
- マルチコアとは、1つのプロセッサの中に複数のCPUコアを内蔵する技術のこと
メリット:並列処理に強い
マルチコアのメリットは、並列処理に強いことです。
1つのコアが1度に実行できる処理は、原則として1つだけです。このため、シングルコアの場合、複数のアプリケーションの処理・動作に追い付かず、処理速度が遅くなることがあります。
これに対し、コアを複数持つマルチコアであれば、処理速度を落とさないまま1度に複数の処理ができます。
ポイント
- マルチコアのメリットは並列処理に強いこと
デメリット:プログラミングが複雑
マルチコアのデメリットは、プログラミング手法が難しいことです。
マルチコアのメリットは並列処理に強いことですが、並列処理のプログラミング手法は複雑になります。
並列処理を実行するためには、どのコアになんの処理を割り当てるかが重要です。こういった並列処理のためのプログラミングを「並列プログラミング」と呼びます。
ポイント
- マルチコアのデメリットは並列処理のためのプログラミング手法が難しいこと
- 並列化には並列プログラミングに関する知識が必要になる
マルチコアプロセッサ=マルチコア化されたプロセッサ
マルチコアプロセッサは複数のコアを搭載しているため、シングルコアプロセッサと比較すると高性能ですが、コアをn倍にしてもプロセッサの性能が比例してn倍にはなりません。実際には、コアを協調処理によってオーバーヘッドが生じるためです。
マルチコアプロセッサの種類
マルチコアプロセッサには、次の2種類があります。
- 同じ種類のコアを集積する「ホモジニアスマルチコア」
- 異なる種類のコアを集積する「ヘテロジニアスマルチコア」
ホモジニアスマルチコアとは
ホモジニアスマルチコアは、同じ種類のコアを集積したものです。
一般的なパソコンやサーバーなどでは、ホモジニアスマルチコアが採用されています。
ヘテロジニアスマルチコアとは
ヘテロジニアスマルチコアは、異なる種類のコアを集積したものです。
組込みの分野では、ヘテロジニアスマルチコアが多く採用されています。
ヘテロジニアスマルチコアの場合、異なるコアに最適な処理を割り当てることで、総合的な処理性能が高くなります。
このため、プロセッサのサイズが同じ場合、ホモジニアスよりもヘテロジニアスのほうがより高い性能を実現できます。
ポイント
- ヘテロジニアスマルチコアは、異なるコアに最適な処理を割り当てることで、総合的な処理性能が高くなる
- プロセッサのサイズが同じ場合、ホモジニアスよりもヘテロジニアスのほうが性能が高い
マルチコアの種類・呼び方は、コアの数により、それぞれ次のとおりです。
名称 | コアの数 |
---|---|
デュアルコア | 2つ |
クアッドコア | 4つ |
ヘキサコア | 6つ |
オクタコア | 8つ |
補足:メニーコア=コアがおよそ10個以上のマルチコア
マルチコアの中にメニーコアと呼ばれるものがあります。厳密な定義はありませんが、マルチコアの中でもコアがおよそ10個以上のものを指します。十数個から数十個、数百単位のものまであります。
メニーコアのメリットは、最適な設計の場合マルチコアよりも高性能化できる点です。
一方、コア数に比例して消費電力やコストが増加するというデメリットもあります。
ポイント
- マルチコアの中でも、コアがおよそ10個以上のものをメニーコアと呼ぶ
- メニーコアは、設計が最適化されていればマルチコアよりも高性能化できる