TX04シリーズは、東芝デバイス&ストレージ(以下東芝)の汎用マイクロコントローラです。TX04シリーズは、Cortex-M4を搭載しており、高効率信号処理アプリケーションに対応しています。
TX04シリーズの仕様
M440グループ | M460グループ | M470グループ | |
---|---|---|---|
最大ROMサイズ (Kbyte) |
1024 | 1536 | 512 |
最大RAMサイズ(Kbyte) | 80 | 514 | 34 |
最大DMAコントローラー(ch) | 6 | 32 | 32 |
SLC NAND型フラッシュメモリーコントローラー(ch) | – | 1 | – |
最大I/Oポート数(本) | 228 | 139 | 79 |
外部バスインターフェース | あり | あり | – |
CAN (ch) |
– | – | 1 |
Full UART(ch) | 2 | 2 | – |
UART/SIO(ch) | 6 | 10 | 4 |
I2C(ch) | 1 | 5 | 1 |
拡張シリアルバスインターフェース(ch) | 3 | – | – |
ベクトルエンジン(VE) | – | – | あり |
タイマー(16bit)(ch) | 1 | 16 | 10 |
高分解能16ビットタイマー/PPG出力(ch) | 1 | – | – |
多目的タイマー(MPT)(ch) | – | 4 | – |
三相PWM出力(PMD)(ch) | – | – | 2 |
2相パルスカウンター | Y | – | – |
ADコンバーター(12bit)(ch) | 20 | 20 | 20 |
DAコンバーター(10bit)(ch) | 2 | – | – |
パワーオンリセット回路 | あり | – | あり |
キーオンウエイクアップ(ch) | 40 | – | – |
電圧検出回路 | – | あり | あり |
周波数検知回路 | – | あり | あり |
RTC(ch) | 1 | 1 | – |
クロックギア機能 | あり | あり | あり |
外部割込みピン数(pins) | 24 | 16 | 16 |
CEC機能(ch) | – | 1 | – |
CS/WAITコントローラー(ch) | 2 | – | – |
インクリメンタル型エンコーダー入力(ch) | – | – | 2 |
内蔵発振器(I-OSC) | – | – | あり |
積和演算器 | あり | – | – |
キーマトリックス(入力)(ch) | 8 | – | – |
キーマトリックス(出力)(ch) | 8 | – | – |
サーボ/シーケンスコントローラー(ch) | 1 | – | – |
リモコン判定機能(ch) | – | 2 | – |
SSP(ch) | – | 3 | – |
パッケージ | VFBGA289-P-1111-0.50 | P-LQFP144-2020-0.50-002
P-LQFP176-2020-0.40-002 P-LQFP100-1414-0.50-002 |
P-LQFP100-1414-0.50-002 |
最大ピン数 | 289 | 176 | 100 |
TX04シリーズとは
TX04シリーズは、最大100 MHzで動作するCortex-M4を搭載し、高効率信号処理アプリケーションに対応したマイコンです。
TX04シリーズの製品ラインアップ
TX04シリーズの製品ラインアップは、以下の通りです。
製品ライン | 特徴 |
---|---|
M440 | 高精度ADコンバータ/DAコンバータPSC |
M460 | 豊富なシリアルインターフェース |
M470 | アドバンストベクトルエンジン(A-VE)搭載 |
M440グループ
M440グループの特徴
M440グループは、高精度ADコンバータ/DAコンバータPSCを搭載したデバイスです。
また、複数の演算器(MAC,FPU,PSC)を搭載しており、処理能力を向上させています。
MAC(読み方:エムエーシー)
MACとは、「積和演算」を意味するmultiply-accumulateの略。名前の通り、積和演算に特化した演算器のこと。積和演算は、アナログ信号をデジタル化する処理や、デジタル化された値をアナログ信号に変換する処理の際に用いられる。
FPU(読み方:エフピーユー)とは
FPUとは、「浮動小数点演算装置」を意味するFloating-Point Unitの略。浮動小数点数の演算に特化した演算装置。FPUのうち、32ビットの浮動小数点で表現するものを「単精度FPU」、64ビットのものを「倍精度FPU」と呼ぶ。
PSC(読み方:ピーエスシー)とは
PSCとは、「プログラム可能なシーケンスコントローラ」を意味するProgrammable Servo/Sequence controllerの略。CPUコアが負担している演算・シーケンス処理をPSCに分散し、CPUコアの負担を軽減できる。
M440グループの使い方(アプリケーション)
M440グループは、以下のアプリケーションに適しています。
- デジタルビデオカメラ
- デジタル一眼レフカメラ
- 家電製品
- オーディオ機器
- センサー応用
- プリンター機器
- 通信機器
M460グループ
M460グループの特徴
M460グループは、豊富なシリアルインターフェースを搭載したデバイスです。
Full UARTやUART/SIO、I2Cを搭載しています。
シリアルインターフェースとは
シリアルインターフェースとは、シリアル通信を実現するインターフェース(接続部分)のこと。シリアル通信は、通信方式の1つであり、1本の信号線や回線を使いデータを1ビットずつ順番に送信する方式。
シリアルインターフェース、シリアル通信については、以下の記事をご覧ください。
M460グループの使い方(アプリケーション)
M460グループは、以下のアプリケーションに適しています。
- OA機器
- デジタル機器
- 産業用コントローラー/周辺機器
M470グループ
M470グループの特徴
M470グループは、アドバンストベクトルエンジン(A-VE)を搭載したデバイスです。
A-VE(読み方:エーブイイー)とは
A-VEとは、東芝オリジナルのアドバンストベクトルエンジンのこと。ベクトル制御の一部をA-VEに任せることで、CPUの負荷を軽減できる。
M470グループの使い方(アプリケーション)
M470グループは、以下のアプリケーションに適しています。
- 家電製品(エアコン、洗濯機、冷蔵庫等)
- モーター・インバーター制御
- 産業機器
TX04シリーズの入手方法
TX04シリーズのマイコンは、下記の東芝の特約店やオンラインショップなどで購入できます。
TX04シリーズの開発環境
TX04シリーズに対応した代表的な開発環境は、以下の通りです。
- Arm Keil MDK
- IAR Embedded Workbench for ARM
TX04シリーズの評価ボード
TX04シリーズの評価ボードは、以下の通りです。
搭載CPU | 特徴 | 対象 | データシート | |
---|---|---|---|---|
KSK-TMPM440-IL | TMPM440 | IAR I-jet Liteデバッグプローブや、ソフトウェアツール、サンプルプロジェクトなどを搭載 | すぐにM440グループの開発をスタートしたい方 | – |
AdBun-M46B (TMPM46B) 評価ボード | TMPM46B | スイッチ入力、LED点灯、サーミスタ、リモコン受信などの機能や、デバッガー機能を搭載 | すぐにM460グループの開発をスタートしたい方 | – |
TMPM475-SBK | TMPM475 | 統合開発環境やサンプル・プログラムの全ソースコードを纏めたCDなどを同梱 | すぐにM470グループの開発をスタートしたい方 | TMPM475-SBKのデータシート |
KSK-TMPM440-IL
KSK-TMPM440-ILは、IARシステムズ社製の評価ボードです。TMPM440に対応しています。
KSK-TMPM440-ILには、IAR I-jet Liteデバッグプローブや、ソフトウェアツール、サンプルプロジェクトなどが搭載されています。
このため、「すぐにM440グループの開発をスタートしたい」という方に最適な評価ボードです。
AdBun-M46B (TMPM46B) 評価ボード
AdBun-M46B (TMPM46B) 評価ボードは、センシスト社製の評価ボードです。TMPM46Bに対応しています。
AdBun-M46B (TMPM46B) 評価ボードには、スイッチ入力、LED点灯、サーミスタ、リモコン受信などの機能が搭載されています。また、デバッガー機能も搭載されています。
このため、「すぐにM460グループの開発をスタートしたい」という方に最適な評価ボードです。
AdBun-M46B (TMPM46B) 評価ボードの価格・購入場所
TMPM475-SBK
TMPM475-SBKは、イーエスピー企画社製の評価ボードです。TMPM475に対応しています。
TMPM475-SBKは、統合開発環境やサンプル・プログラムの全ソースコードを纏めたCDなどを同梱しています。
このため、「すぐにM470グループの開発をスタートしたい」という方に最適な評価ボードです。
TMPM475-SBKの価格・購入場所
TX04シリーズの対応OS
TX04に対応している主なOSは、以下の通りです。
- embOS
- μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact(弊社製品)
弊社製品「μC3(マイクロ・シー・キューブ)」のご紹介
マイコン向け超軽量カーネルを採用したRTOS「μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compact」
μC3(マイクロ・シー・キューブ)/Compactは、マイコン内蔵の小さなメモリだけで動作するように最適化された、コンパクトなμITRON4.0仕様のRTOSです。
μC3/Compactは、ソースコードに直接コンフィグレーションを行うのではなく、付属のコンフィグレータによりGUIベースでRTOS、TCP/IP、デバイスのコンフィグレーションからベースコードの自動生成まで行います。
- 小さいフットプリント
- マイコンの小さなROM/RAMのみで動作するように最適化された最小2.4Kbyteのコンパクトなカーネル。メモリ容量が小さい安価なデバイスを使用する事ができます。
- μC3/Configurator付属
- 選択・設定するだけでベースコードが生成できるコンフィギュレーションツール。開発時間の大幅な短縮や、コーディングミスの減少が可能。RTOSの初心者でも簡単に開発をスタートすることができます。
- 豊富なCPUサポート
- 業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。CPUの選択肢を広げ、機会費用を抑える事ができます。業界随一のCPUサポート実績があり、技術サポートも充実しています。ご使用予定のデバイスで直ぐに開発着手が可能で、ご質問に対して24時間以内の1次回答を徹底しています。
- 省電力対応
- デフォルトで省電力機能がついているため、システム全体の省電力に貢献します。
詳しい資料をご希望の方は、下記より製品ガイドをダウンロードしてください。
μC3のライセンスの種類・詳細
ライセンスの種類
ライセンスの種類は3つあります。
- 研究開発用プロジェクトライセンス
- 開発量産用プロジェクトライセンス
- プラットフォームライセンス
研究開発用プロジェクトライセンス
研究開発用プロジェクトライセンスは、研究開発のみ可能なライセンスです。ライセンス購入時の段階で、製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めです。
研究開発用プロジェクトライセンスのライセンス費用は、このあとご紹介する開発量産用プロジェクトライセンスの60%の価格です。
有償の保守契約に加入中の場合、開発量産用プロジェクトライセンスのライセンス費用の40%オフの価格でアップグレードが可能です。
開発量産用プロジェクトライセンス
開発量産用プロジェクトライセンスは、研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンスとなります。開発量産用プロジェクトライセンスの対象製品の範囲には、1種類の製品型番だけでなく、その製品ファミリ(派生機種)が含まれます。
有償の保守契約に加入中の場合、プラットフォームライセンスのライセンス費用との差額でアップグレードが可能です。
プラットフォームライセンス
プラットフォームライセンスは、プロジェクトライセンスの対象範囲を広げたライセンスです。プラットフォームライセンスの対象製品は、1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリが範囲となります。サイトライセンスではございません。
※弊社のライセンスはプロジェクトライセンスの形式を採っております。ご購入時に該当プロジェクトの名称をご登録頂く必要があり、その際、「計測機器」などの抽象的な名称ではなく、具体的な名称を頂戴しております。
お客様のご要望をお聞きした上で適切な範囲を設定させて頂きますので、先ずは、担当営業にご相談下さい。
ポイント
- 研究開発用プロジェクトライセンス:製品化まで見えていない場合や、フィジビリティスタディの場合にお勧めなライセンス
- 開発量産用プロジェクトライセンス:研究開発から量産販売までが可能な標準的なライセンス
- プラットフォームライセンス :1種類の製品ファミリだけでなく、複数の製品ファミリを範囲とするライセンス
ライセンスの詳細
- ライセンス費用の金額・計算方法:ライセンス購入時の固定の一括払いのみでご使用いただけます
- 開発人数制限 :無(ただし同プロジェクト内)
- 提供形態 :ソースコード
- 使用範囲 :定義されたプロジェクト内
- 使用CPU :型番固定ではなくCPUシリーズ(例:STM32F4シリーズ)
- μC3/ConfiguratorはCPUシリーズ毎に用意されています
ライセンスの価格などの詳細については、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてご覧ください。
保守について
製品定価には契約日の翌月1日から6ヶ月分の無償保守が含まれています。その後、有償で保守を継続することが可能です。
また、年間保守費用は製品定価の40%になります。
無償保守期間終了後、継続して有償保守サービスにご加入いただいた場合は、製品定価の20%になります。(ただし、初年度分の保守とライセンスをセットで購入された場合は、初年度分に限り製品定価の15%になります。)
*研究開発用プロジェクトライセンスの保守費用は開発量産用プロジェクトライセンスの定価の20%になります。
保守サービスには以下が含まれています。
- メールによる技術サポート(1営業日以内に1次回答)
- 製品の無償バージョンアップ
TX04とμC3/Compactの導入事例
- 電気通信機器メーカー製 複合機及びその周辺装置