シングルコアとマルチコアの違い
- シングルコアとマルチコアの違いは何でしょうか?
- シングルコアとマルチコアの違いは、コアの数です。コアとは、プロセッサの中にある、実際の処理を担う機能(実際に処理を行う部分)です。このコアの数によって、シングルコアであるかマルチコアであるかが決まります。コアの数が単一のものがシングルコア、複数のものがマルチコアになります。
基本的には、コアの数が多いほど並列に処理できる作業が増えるため、処理能力も高まります。
シングルコアとマルチコアの違い・比較一覧表
シングルコア | マルチコア | 備考 | |
---|---|---|---|
コアの数 | 1つ | 複数 | |
発熱・消費電力量 | 高 | 低 | ただし同じ条件の場合 |
処理性能 | 低 | 高 | |
コスト | 低 | 高 |
以下の記事も併せてご覧ください。
組込みにおけるシングルコア、シングルコアプロセッサとは?意味・定義・特徴をわかりやすく解説
シングルコアとマルチコアのコアの数の違い
シングルコア | マルチコア | |
---|---|---|
コアの数 | 1つ | 複数 |
従来のプロセッサはコアが1つのシングルコアが主流でした。その際、高性能化を実現するために、クロック周波数を上げてクロック単位時間あたりの計算量(CPI:クロックパーインストラクション)を増やしてきました。
しかし、クロック周波数を上げていくと、発熱量や消費電力も上がり、安定した動作に限界がみえてきました。
これを解消するため、クロック周波数を上げるのではなく、コアを増やして性能を上げる方法が開発され、現在までに複数コアが内蔵のマルチコアプロセッサが実用化がされています。
ポイント
- シングルコア:コアが1つ内蔵されたCPU
- マルチコア:コアが複数内蔵されたCPU
- コアの増加に伴う発熱量および消費電力の増加を解消するため、コアの増設によって高性能化が実現
シングルコアとマルチコアの発熱量・消費電力量の違い
シングルコア | マルチコア | 備考 | |
---|---|---|---|
発熱・消費電力量 | 高 | 低 | ただし同じ処理の場合 |
同じ処理を同じ時間で実行すると1つのコアあたりの発熱量や消費電力量は、シングルコアのほうがクロック周波数をあげる必要があるため高くなり、マルチコアは低くなります。
同様のハードウェアやソフトウェア構成で同じ処理をしてマルチコアとシングルコア比較をした場合、マルチコアの方が処理速度が向上します。そのためにはマルチコアの処理をコアごとに割り振りをする必要がありますが、シングルコアでクロック周波数をあげて処理をするよりも発熱量や消費電力量が抑えられます。
つまり、マルチコアには、発熱量や消費電力がシングルコアに比べて低い、というメリットがあります。
ポイント
- マルチコアは、発熱量や消費電力がシングルコアに比べて低い(ただし理想的に活用した場合)
シングルコアとマルチコアの処理性能の違い
シングルコア | マルチコア | |
---|---|---|
処理性能 | 低 | 高 |
プロセッサのコアの処理性能は、シングルコアのほうが低く、マルチコアのほうが高くなります。
コアとは、実際に処理を行う人間に例える、頭脳のようなものです。コアが増えるほど頭脳が増えるため、複数の処理を並列して実行でき処理性能が上がります。
ただし、コア数を2倍にしても、単純に処理性能が2倍になるわけではありません。実際には、オーバーヘッド(付加的な処理)が発生するため、2倍を下回ります。どの程度下回るかは、ハードウェアやソフトウェアの設計によって異なります。
組込みにおけるマルチコア、マルチコアプロセッサとは?種類・定義・特徴をわかりやすく解説
ポイント
- 処理性能は、シングルコアのほうが低く、マルチコアのほうが高い
- マルチコアとシングルコアの処理性能の差は、ハードウェアやソフトウェアの設計によって異なる
シングルコアとマルチコアのコストの違い
シングルコア | マルチコア | |
---|---|---|
コスト | 低 | 高 |
コストは、シングルコアのほうが低く、マルチコアのほうが高くなります。
マルチコアのほうがコストが高くなる理由は、プロセッサのダイサイズが大きいからです。
ダイサイズとは
ダイサイズとは、一つのICチップの面積のこと。ダイサイズの「ダイ」とはシリコンダイのことで、一枚一枚のチップを指す。
マルチコアはコアが増える分、シングルコアに比べてプロセッサのサイズが大きくなります。このため、コストもマルチコアの方が高くなってしまいます。
ポイント
- コストは、シングルコアのほうが低くマルチコアのほうが高い
- マルチコアは、シングルコアに比べプロセッサのダイサイズが大きくなるため、コストも高くなる
プロセッサの選択は全体のバランスで決める
マルチコアはシングルコアよりも高性能ですが、単純にマルチコア化すれば処理能力があがるというものでもありません。アプリケーションやソフトウェアのほうもマルチコアに対応していないと、メリットを生かすことができないです。
プロセッサの選択はハードウェアだけでなくソフトウェアの開発まで含めて、全体のバランスで決める必要があります。
ポイント
- 単純にマルチコア化すれば処理能力があがるわけではない
- プロセッサの選択はハードウェアだけでなくソフトウェアの開発まで含めて全体のバランスで決める
シングルコア、マルチコア対応RTOS
シングルコア、マルチコアに対応したRTOSはこちらからご覧いただけます。